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書籍レビュー

【凄く好きな一文がありました】『孤独からはじめよう』を読んだ感想

先日、『孤独からはじめよう』を読みました。

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では、著者の情報から述べていきます。

もくじ

著者

著者は、中野善壽さんです。

中野さんは、1944年東京都にて産まれました。高校生になった中野さんは、青森の弘前高校に進学します。東京都にて産まれたのになんで青森の高校に行っているかというと、青森に住んでいた祖母方の親戚に預けられたことが関係しております。物心をついた時には両親がおらず、代わりに祖父母に育てられた中野さん。ただ、残念なことに小学校高学年の頃に立て続けに祖父母が亡くなってしまい、青森に住んでいた祖母方の親戚の元へ行ったということです。

ただ、その祖母方の親戚も、程なくして亡くなってしまいます。以上の経験から中野さんは10代そこそこにして「頼りにできる人がいつでも近くにいる」という保証はどこにもないんだと悟るわけです。ただ、中野さんはへこたれません。高校では野球をやっていたのですが、ナイスプレーを繰り出せば、自然と声をかけあうコミュニケーションが生まれたことから、日々前を向いて生きることができました。

中野さんは弘前高校を卒業後、千葉商科大学へと進学。大学3年生、4年生となるにつれて、周りの学生は就活に没頭するようになっていきますが、中野さんは一切就活を初めませんでした。なぜなら、就職してやりたいことがなかったからです。それどころか、大学生活もかなり怠惰な感じでして、なんと授業に出たのは全部で5回。友人のカバーがあって、なんとか卒業にまで漕ぎ着けられたようなお方です。

ただ、そんな中野さんに転機が訪れます。中野さんは花が好きだったので、毎日のように花屋で花を買っていたんですね。するとその花屋のおばさんに「就職は決まったの?」と聞かれます。何もしていない中野さんは正直に「まだ決まってないです」と答えます。するとおばさんから、「じゃあ、私の従兄弟が勤めている会社を紹介して上げるわ」と言われて、紹介された会社がなんとあの伊勢丹でした。普通、伊勢丹に就職できるチャンスが訪れたら、多少は準備に励みそうな気はしますよね。ただ、中野さんは良くも悪くも正直なお方です。別に伊勢丹への想いがあったわけじゃないので、なんの準備もせずに面接会場へ行きます。面接官に「君はなにができるの?」と聞かれれば、何も出来ませんと答え、なんの仕事をやりたいの?と聞かれれば、特に希望はないですと答えます。はい、なかなかひどい受け答えですけど、なぜか面接は通過してですね、無事に伊勢丹への入社が決まりました。中野さんは面接での振る舞いをすごく堕落したイメージで語っていますけど、受け答えの中で何か光るものを感じさせたのだとは思います。

まあ中野さんはこんな方なので、入社後に当然揉め事を起こします。ライバルに勝つためには、いまのままじゃ駄目じゃ無いですか?と素直な意見を上司にぶつけたら、喧嘩になっちゃったそうです。そして、なんとこの喧嘩をキッカケに伊勢丹を辞めることになります。大卒で入った会社を辞めるというのは、それなりの覚悟が入りますけど、まあ中野さんは飄々とした感じで辞めたと思いますね。

伊勢丹を退社後は、鈴屋というファッション関係の会社に所属したり、トランジットで降り立った台湾を気にってしまいそのまま住み着いたり、台湾で講師をしたり、講師をしていたらスカウトされて台湾の会社での顧問になったりと、もうとにかく落ち着きのない人生を過ごします。2011年には寺田倉庫という会社の社長に就任したのですが、倉庫業だけじゃやっていけないと理解していた中野さんは、突然ワインやアートといった高級品を中心に預かるよう舵を切ったんですよ。寺田倉庫は空港からのアクセスが良かったので、富裕層からすれば利用しやすいということに、経験や感性から確信していたのですね。結果的に寺田倉庫は、年間18億円の売上増を達成します。

2019年にその寺田倉庫を退社し、東方文化を極めたいという想いから東方文化支援団体を設立し、代表理事へ就任。そして、2021年にホテルニューアカオの代表取締役会長CEOに就任し、熱海の観光産業を盛り上げるために奮闘しております。

感想

凄く好きな一文に出会えたので、読んで良かったなと思っています。

その一文とは、以下のとおりです。

一生に一度の出会いでも、つながりは保たれている。

あの人と、今でもずっとつながっている。

そう思うだけで、心が満たされませんか。

引用:孤独からはじめよう

僕には、「今後二度と合わないだろうなあ」と思う親友がいます。会えないという事実は寂しいのですが、きっとその親友もですね、僕のことを本当に微かにですが、気にしてくれると思っています。

そう思うと、切なくも暖かい気持ちになります。同じような気持ちを抱いている方がいるんだと認識できて、とても嬉しくなりました。

本書は「孤独の魅力」や「個を磨く重要性」を説いている本なのですが、僕はそういうところじゃなくて、上記のような何気ない一文にグッときましたね。

YouTubeでも解説しております。