今回は、畑野智美さんが書いた「大人になったら、」の感想をご紹介します。
結論から言うと、僕はこの本めっちゃ好きです。登場人物の心情が非常に繊細に表現されており、なんだか、読んでいるとお心が穏やかになります。
主人公は35歳の独身女性です。周りの人間はどんどん結婚していくのに、自分は彼氏すらいない。仕事はそれなりに順調だけど、人間関係等で揉めることもあって、まさに「私はこのままでいいのか」という悩みを抱えている人物ですね。
僕が本書を好きだと言う理由は、人生に悩む描写に強く共感できたからです。周りは年齢を重ねるごとに着実にステージアップしていくけど、何だか自分は取り残されている。そんな感覚で生きている主人公なんですけど、僕もそんな感じなんですよね。もう一人の主要な登場人物である35歳の男もそんな感じです。僕はこの2人の「関係性」と「性格」と「考え方」がめっちゃ好きで、この本に出会えて良かったと思えました。
この作品には、どんでん返しとか、ビックリするような展開は一切ありません。したがって、人によっては物足りなく感じるでしょうね。ただ、繊細な心を持っている人が読んだら、「こういう本を待ってた」という気持ちになるはずです。
なんとなく周囲に溶け込めない感覚を持っている方は、ぜひ読んでほしい1冊です。