この記事は、下記の動画を文字起こしした内容となっております。
こんにちは、こんばんは、TKです。
今回ご紹介するのは、中野善壽(よしひさ)さんの著書「ぜんぶ、すてれば」という本です。
本書は、不確実な時代を乗り切るためには「全部捨てればいい」という逆転の発想を軸にしつつ、僕たちを豊かな人生に導いてくれる内容となっております。
著者の中野善壽さんは寺田倉庫の元社長さんでして、寺田倉庫ではワインやアートのような「価値が高い物を保管するサービス」に特化した珍しい会社です。
実はそんな寺田倉庫も、元々は政府から米を預かるという目的で1950年に創業された会社でした。
ただ、時代の種類も量も増加していく流れの中で、単に物を預かるという仕事だけでは経営が難しくなったそうです。
しかも寺田倉庫は他の会社に比べれば、倉庫の規模が小さいという欠点も抱えていました。
そこで、2011年に社長を任されるようになった中野さんは、「空港からのアクセスのし良さ」に目をつけたんですよ。
空港からのアクセスが良いということは、他国のお客さんも取り込める。
それなら、アジアの富裕層が所有している価値が高いワインやアートを保管して、1坪あたりで稼げる金額を上げればいいんだ。
中野さんは、そう考えたわけですね。
結果としてこの考えが大成功!
中野さんが社長になってから、年間で18億円の売上増を達成しました。
こんなお話を聞くと、「会社を大復活させるような経営のコツを知りたい!」と思いますよね。
実際に中野さんの元には、多数の出版依頼が届いたそうです。
しかし中野さんはほぼ全ての出版依頼を断り、唯一書いた本が今回ご紹介する「ぜんぶ、すてれば」になります。
「倉庫の社長さんなのに、全部捨てろってどういうこと?」って感じですよね(笑)。
しかしこのタイトルには、中野さんの信念が詰め込まれていまして、読み進めていくと「捨てることで人は豊かになれるし、人と違う発想で仕事ができる」と実感できました。
今回はそんな「ぜんぶ、すてれば」の中から、中野さんの信念が詰まったお話を3つのテーマに分けて解説します。
具体的なテーマは、以下の3つです。
- ① やりたいことは、なくてもいい
- ② 今日が全て
- ③ 物を減らす
ではさっそく、1つ目のテーマから見ていきましょう!
やりたいことは、なくてもいい
1つ目のテーマは「やりたいことは、なくてもいい」です。
はい、元社長さんとは思えない言葉ですよね(笑)。
しかし中野さんはこれを冗談で言っているのではなく、本気で「やりたいことは、なくてもいい」という精神で生きてきた人です。
ちょっとディスる形になってしまいますが、中野さんは相当なナマケモノなんですよ。
大学の授業に出たのは全部で5回。
友人のカバーがあって、なんとか卒業できたそうです。
卒業後は就職しなければと思いつつも、全く就活をせずぼーっと日々を過ごします。
なんで就活をしなかったかと言うと、「やりたいことがなかったから」だそうです。
でもこの理由って、大多数の人に当てはまると僕は思いました。
大学卒業の時点でやりたいことが無い人って、結構いますよね。
結構いるどころか、やりたいことが無い人のほうが多いと思います。
それでもなんとなく就活して、就職するのが基本的な流れですよね。
しかし中野さんは、自分に嘘をつくのが大嫌いなお人です。
だから、やりたくもない就活をしないのは、中野さんにとって当たり前のことだったんですね。
しかしこの正直さが、思わぬ道を開きます。
中野さんは花がお好きでして、大学生時代、毎日のように花屋に通っていました。
そこの花屋のおばさんに、ある日「就職は決まったの?」と聞かれたそうです。
そこで、「まだ、決まってないんです」と正直に中野さんは言いました。
すると、「じゃあ私の従兄弟が勤めている会社を紹介してあげる」とおばさんに言われ、あの超有名百貨店「伊勢丹」への面接が決まります。
これだけでも凄いのですが、さらに凄いのがその面接での対応なんですよ。
別に伊勢丹にこだわりも無いし対策もしていないので、面接での受け答えはめちゃくちゃでした。
「君は何ができるの?」と聞かれれば、「何もできません」
「何の仕事をやりたいの?」と聞かれれば、「特に希望はありません」
こんな人、100%落ちそうですよね(笑)。
しかし大きな器を持った面接官は、そんな中野さんを受け入れてくれました。
ちょっと余談になりますが、このエピソードにはとても共感できましたね。
僕も面接ではかなり正直に受け答えしていまして、趣味を聞かれたら必ず「競馬」と言っていました。
自分を良く見せようとすると、ぎこちなさが生まれますし、競馬好きな自分を受け入れてくれないんだったら、その会社は自分に合わないと思っていましたね。
結果的に落ちた会社もありましたが、内定をくれた会社もありました。
だから、就活したくないんだったら就活しなくてもいいし、就活するにしても面接での受け答えは素直なあなたを表現すればいいと思っています。
はい、ここまでのお話を聞いてどう思ったでしょうか?
中には「運良く入社できただけじゃん。こんなの参考にならない」そう思われた方もいると思います。
たしかに、その考えには一理あります。
中野さんは運が良かったと僕も思いますが、このテーマで伝えたいのはそこじゃありません。
このテーマで伝えたいことは、「自然体で生きることで、執着が無くなる」ということです。
「やりたいこと」と言うと聞こえはいいですが、これって必ずしも見つかるわけじゃないですよね?
それに、仮に「やりたいこと」が見つかっても、時間が経つにつれて「やりたくないこと」になることもあります。
そんな不確かな存在である「やりたいこと」に縛られていると、苦しい人生を過ごすことになる。
中野さんはそう考えているわけですね。
だから中野さんは、花屋のおばさんのおかげで入った伊勢丹にも執着なんてありません。
なんと伊勢丹に入って数年後、先輩とケンカして辞めたそうです。
ケンカの理由は、思いついたことを発言したら嫌われたから。
「ライバルに勝つためには今のままじゃ、ダメじゃないですか?」
そう発言したのがマズかったみたいですね。
でもそんな中野さんだから、社長になった際、前例のないことにチャレンジできたのは間違いありませんよね。
なんとなく流れ着いたところで、素直な気持ちで働く。
この姿勢は時にトラブルを招くこともあれば、大きな事業を成功させることもあります。
ただ確実に言えるのは、執着を捨てて素直に生きれば、「何事にも縛られない人生を歩める」ということです。
自分らしく自然体の人生を全うしたい方は、「やりたいことは、なくていい」という考えを、ぜひ参考にしてほしいと思います。
今日が全て
はい、2つ目のテーマが「今日が全て」です。
この「今日が全て」という考えが、中野さんが最も伝えたい言葉になります。
あらゆる情報・将来のこと・周りの人も気になる時代において、「今に集中する」ことは、とても難しくなってきましたよね。
しかし事実として、夢中になって楽しめるのは「今この瞬間」しかありません。
だから中野さんは、後先のことを良い意味で考えていないんですよ。
僕がホントにびっくりしたのが、中野さんは若い頃から寄付を続けていることです。
しかも寄付の額も、ちょっとした金額じゃありません。
27歳のときから寄付を続けているそうですが、なんと収入の3分の1を寄付していたそうです。
例えば収入が21万円あったとしたら、毎月7万円を寄付していたということですからね。
さらに驚きなのが、今ご紹介している「ぜんぶ、すてれば」の印税も全て、東方文化地域で支援を必要とする子どもたちへ全額寄付されます。
中野さん、ホントに凄いですよね。
寄付は人のためになる素晴らしい行いですから、余裕があればやりたいと僕も思っています。
でもやっぱり、「余裕があれば」なんですよね。
結局は将来のことを考えてしまい、寄付することができていません。
「今日が全て」
この言葉を主張するのは簡単ですけど、実践するのは相当に難しいと思います。
現に僕は、「今日が全て」という信念で生きることはできていません。
ただ、今この瞬間を本気で生きるためにも、「今日が全て」という信念になんとか近づきたいですよね。
そこで本書から、「今日が全て」という信念に近づくためのヒントを抜粋してご紹介します。
それは、「物を減らす」というアクションを取ることですね。
物を減らす
実際に中野さんは、物を持たない生活を実践されております。
家は賃貸でして、家具は最小限しか置いていません。
車は持っていませんし、高級時計にも興味はありません。
服や日用品も高級品は選ばず、一般的なレベルのもので済ませているそうです。
なぜここまで中野さんは、物にお金を使わないのか?
それは、「執着」が生まれるからです。
例えば家を買うことによって、家を管理するコストが発生しますよね。
売買するのに時間を使いますし、災害の心配が増えますし、生活する場所は固定されてしまいます。
今は家を例に上げましたが、他の物も一緒です。
買って所有権が生まれると「自分の物」という考えが生まれる、つまり、そこに必ず執着が発生してしまうのです。
そして執着が発生すれば、物にエネルギー奪われてしまい、今を生きることができなくなるということですね。
また、執着を発生しないように物を持たないことは、仕事での振る舞いにも大きく影響します。
先程説明したように、中野さんは素直な意見をぶつけたことで先輩とケンカし、伊勢丹を辞めることになりました。
この行動が取れたのも、執着が無いからなんですよ。
もし会社に執着があれば、「会社を辞めたくない」という気持ちになるので、素直な意見をぶつけることなどできませんよね。
このように物を持たないことは、今を生きられるようになることはもちろん、素直に生きることにもつながってきます。
では、さらにこの話を深堀りしていきますね。
中野さんは物だけじゃなく、「思い出も捨てなさい、役に立たないから」と主張します。
「いやさすがに、思い出くらいはいいでしょ!」って感じですよね。
僕も思い出を捨てるようなことはしたくありませんが、中野さんが言っているのは、思い出を捨ててドライな人間になれということじゃありません。
もっとわかりやすく言うと、「美しい成功体験にこだわるな」ということです。
なぜそんな主張をしているかというと、美しい成功体験もまた、執着を生む原因になるからです。
本書にはハッキリと、「激動する時代において、前例は役に立たない」と書かれていますが、この考えは結構正しいと思いますね。
具体例を出すと、一昔前は、ブログは質が低くても書けば書くほど儲かりました。
なぜなら、記事の絶対数が少なかったので、質が低くても検索上位に表示されるからです。
しかし今は、この成功体験は通用しません。
企業や個人が相当にクオリティの高い記事を書くようになったので、数を重ねても儲けられない時代になりました。
しかし、「書けば書くほど儲かった!」という美しい思い出に縛られていては、その人はいつまで経っても結果を出すことはできないでしょう。
このように、物や美しい思い出に執着を持ってしまうと、人は今この瞬間を生きることができなくなります。
この動画を見終わったら、「不要な物はないか?」「過去にしがみついていないか?」と、自分に問いかけてみてください。
この問いかけを実践することで、少しずつ中野さんような、執着のない自然体の人生を歩めるようになるはずです。
まとめ
はい、これで「ぜんぶ、すてれば」の解説は以上になります。
ではまとめとして、今回ご紹介した内容をサクッと振り返りましょう。
- ① やりたいことは、なくてもいい→自然体で生きることで、執着が無くなる
- ② 今日が全て→人は今この瞬間しか楽しめない
- ③ 物を減らす→物と思い出を減らすと、執着が減る
ただ、今回お話した内容は本書の1部分であり、まだまだ紹介できていないことがたくさんあります。
今回は「執着」や「今を生きる」といった人生論のようなお話が中心になりましたが、本書には他にも、仕事論や経営論のようなお話も盛りだくさんです。
どのお話も固さがなく、非常に本質をとらえているものばかりですので、興味を持った方はぜひ本書を手にとって読んでみてください。
また、この動画の内容をさらに深めたい方は、「「やりたいこと」なんて、死ぬまで必要ない。」の解説動画が参考になると思います。
この動画は、今回の動画とだいぶ雰囲気が違いますが、作り手は同じTKです。
ちょっと戸惑うかもしれませんが、ぜひお楽しみください。
では、本書を読んで最も心に残った「神の一文」をご紹介して終わりにします。
信じて任せた以上は、すべての責任は自分にある
出典:ぜんぶ、すてれば
はい、以上になります。
ご清聴、ありがとうございました!