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書籍レビュー

【道徳ある金儲けをせよ】「論語と算盤」をわかりやすく要約してみました

この記事は、下記の動画を文字起こしした内容となっております。

こんばんは、TKです。

 

今回ご紹介する本は、「現代語訳 論語と算盤」という本です。

本書は、渋沢栄一の講演をテーマ別にまとめた「論語と算盤」を、読みやすいように現代語訳した内容となっております。

「論語と算盤」では、世渡りの方法や学問の重要性など、より良い人生を送るための「教養」が散りばめられています。

後に詳しく説明しますが、渋沢栄一は日本経済の根幹を作ったと言っても過言ではない人なので、「論語と算盤」に記された言葉には非常に重みがあると言えるでしょう。

ちなみに僕の感想を先に言ってしまうと、めちゃくちゃ良い本でしたね。

誰が読んでも絶対に一生役に立つと断言できる深い教養が、「論語と算盤」には記されていました。

今回の動画を最後まで見ていただければ、人生を熱く生き切るための知恵や道徳を体得することができます。

また、本書は全10章で構成されているのですが、それぞれのタイトルに難しい漢字が使われており、意味がわかりにくいというのが正直な気持ちです。

なので今回の動画では、それぞれの章の意味をわかりやすく伝えることを心がけています。

ではさっそく、「渋沢栄一はどんな人?」というお話から解説します。

渋沢栄一はどんな人?

はい、ではここから、論語と算盤の著者である渋沢栄一の人物像を、サクッと説明します。

渋沢栄一は2024年に新1万円札の顔となる人物です。

2021年2月14日には、渋沢栄一を主人公とした「青天を衝け」の放送が始まりました。

お札の顔となったり大河ドラマの主人公となったりと、めちゃくちゃ注目されている人なのですが、「渋沢栄一ってどんな人?」というのが本音だと思います。

なので以下では、渋沢栄一の人生から重要な部分を抜粋して、時系列で説明していきます。

1840年2月13日、渋沢栄一は武蔵国(血洗島村)、つまり今の埼玉県深谷市で生まれました。

栄一が生まれた農家では、主に「藍玉の製造販売」や「養蚕」で生計を立てていました。

「藍玉」は、服やのれんを綺麗な藍色に染める染料として使用されます。

「養蚕」とは、蚕が吐く繭玉から生糸を作る産業のことです。

その生糸は、服や布団などの原料として使用されます。

また渋沢家では、「藍玉」や「生糸」を作るだけでなく、原料の買い入れから製造、そして販売までを手掛けていました。

つまり渋沢家は、商人としてのスキルも必要な農家だったのです。

実際に栄一は、10代半ばで藍の原料を買い付けに行くなどして、商人としてのスキルを高めることができました。

この経験が、後の実業家としての成功に結びついたのは、間違いないと思います。

また、この頃から栄一は、ザックリ言うと道徳について書かれている「論語」を好んで読んでおり、その経験も実業家としての成功に大きく関わってきます。

その後、「幕府の財政を救うために必要だからと」半ば強引にお金を取られるなどして、栄一は幕府に不満を持つようになっていきました。

20代になり、江戸に出て剣術を学んでいた栄一は、周りの影響もあって実際に幕府を倒す計画まで立てていましたが、従兄弟の説得により中止します。

その後、江戸に出た際に交流のあった人物からの紹介で、後の将軍である「徳川慶喜」の元で働くことになります。

27歳になった栄一は、パリ万博を視察するメンバーに選ばれ、パリで様々な文化に触れる経験をしました。

その際に栄一は、株式会社という仕組みによって、鉄道などの大規模な開発が行われていることを知り、その仕組みを日本でも活かすことを決意します。

そして日本に帰った栄一は大蔵省で働くこととなり、第一国立銀行(現在:みずほ銀行)を設立するなどの、大仕事に取り組みました。

その後大蔵省を辞めた栄一は、「日本鉄道(現在:JR東日本)」「東京海上保険会社(現在:東京海上日動火災保険)」「東京株式取引所(現在:東京証券取引所)」の設立に尽力しました。

今上げた会社名はあくまでも一例で、設立に関わった会社は、なんと500社を超えると言われています。

以上の経歴を知っていただければ、渋沢栄一は日本の経済発展に大きな影響を及ぼしたことが、ご理解いただけたかと思います。

ただ、経済発展を続けていると、中には悪どい方法でお金を儲けようとする人もでてきます。

そんな悪どくお金を儲けようとする人に対して栄一は、「道徳を無視したお金儲けはしないようにね」というメッセージを「論語と算盤」の中に残しました。

ではさっそく、「論語と算盤」に書かれている栄一のメッセージを読み解いていきましょう!

第1章:処世と信条

はい、第1章は「処世と信条」です。

「処世」とは、「世間と交わってうまく生活していくこと」を意味しています。

「信条」とは、「自分が信じ守っている事柄」を意味しています。

要するに「処世と信条」は、上手く世の中を渡りつつも、自分が信じていることを曲げないための考え方を教えてくれる章になっております。

上手く世の中を渡る考え方として印象的だったのが、「結果が出ているときこそ調子に乗るな」という教えですね。

人は結果が出ているとつい、「俺は天才だ」「少しサボっても大丈夫だな」と調子に乗ってしまうものです。

しかしそのような心構えでは、「いずれ思ってもみない失敗に見舞われるぞ」と栄一は警告します。

「勝って兜の緒を締めよ」という言葉のように、結果が出たときこそ調子に乗らない精神を持ってほしいと思います。

自分が信じていることを曲げないための考え方として印象的だったのが、「ときに争うことは必要だ」という教えですね。

栄一は決して争いが好きなわけではありませんが、信念を貫き通すためにはとことん争ってきた人物です。

実現はしませんでしたが、若い頃には幕府を倒そうとしていたくらいですからね。

何事も争わないことが1番だと思いますが、「自分の信念貫き通すためには、敵と戦い必ず勝つといった気概が無ければならない」と栄一は断言しています。

以上の話を踏まえると、「信条を守るために敵と戦いなさい。そして勝ったとしても決して調子に乗らないように」というメッセージを「第1章:処世と信条」から読み取ることができます。

第2章:立志と学問

はい、第2章は「立志と学問」です。

「立志」とは、「目標を立て、それを達成しようと決心すること」を意味しています。

ここで言う「学問」とは、「科学的な知識から道徳といった、幅広い分野を学ぶこと」を意味しています。

要するに「立志と学問」は、目標を立てて達成しようとすること、そして幅広く学ぶことの重要さについて教えてくれる章となっております。

目標を立てるにことに関して栄一は、「大きな志」と「小さな志」という表現を使って説明をしています。

「大きな志」とは、一生を懸けて達成したいと思っている目標のことです。

栄一で言えば、「実業家として日本を豊かにすること」が「大きな志」となります。

そして「小さな志」とは、「大きな志」の飾りだと栄一は言います。

栄一で言えば、「株式会社の仕組みを浸透させるために、株式の取引所を作る」といったところでしょうか。

要するに「大きな志」が真の目的で、「小さな志」は手段のようなイメージですね。

なので「小さな志」は日々移り変わってもいいのですが、「大きな志」は基本的に変更するものではありません。

正しく「大きな志」を設定するためにも、自分の長所と短所、そして自分の置かれている環境などを時間を掛けて考え抜く必要があります。

ただ、「大きな志」はそう簡単に設定できるものではなく、あの栄一でも「大きな志」を設定したのは31、2歳の頃なんですよ。

「大きな志」は焦らずじっくり、固めていけばOKです。

はい、学ぶことに関して印象的だったのが、「幅広さ」を重視しているところですね。

なぜ幅広さが重要かというと、実業家として活動するにあたって、幅広い知識が必要だと栄一は実感しているからです。

パリ万博から帰ってきた栄一は、日本には経済発展に必要である科学的な教育が足りていないことを不安視していました。

また、幼少期から「論語」を読んでいたことから、人として立派な行動を取れたと発言しています。

以上の経験から、幅広く学ぶことによって人は経済発展に貢献でき、さらに正しく生きることができると考えているのです。

まさにこの考えが、「論語と算盤」というタイトルに集約されていると言えるでしょう。

以上の話を踏まえると、「正しく大きな志を設定して人生を全うするためには、幅広く学ぶことが大事なんだよ」というメッセージを「第2章:立志と学問」から読み取ることができます。

第3章:常識と習慣

はい、第3章は「常識と習慣」です。

この章では、良い常識と習慣を身につける必要性を教えてくれます。

「常識」という言葉はかなり曖昧なので、栄一の考える定義をまず示しておきます。

ここで言う常識とは、「知恵・情愛・意思をバランスよく持ち、世の中をうまく渡っていく能力のこと」を意味しています。

 

例えばどんなに頭が良くても、他人の気持ちを考えられないような人は嫌ですよね?

なので偏りすぎることなく、「知恵・情愛・意思」それぞれを育む意識を持つことが必要になるのです。

習慣に関しては、栄一はある考えを持っています。

それは「他人に伝染する傾向がある」という考えです。

例えば周りが健康に気を使って生活していれば、自分も健康に気を使うようになります。

しかし周りが健康に気を使わない人ばかりであれば、自分も健康に気を使わない人間になるでしょう。

つまり栄一は、自分が正しく生きるためだけでなく、周りも正しく生きさせるために、良い習慣を身につけることを推奨しているのです。

このように周りを軸とした発想、素敵ですよね。

誤解を生まないために言っておきますが、「自分が怠けないように習慣が必要なんだ」という主張もしています。

また、習慣は幼少期に身につく傾向があると栄一は主張していますが、「大人になっても修正できるから諦めるな」という言葉を残しています。

以上の話を踏まえると、「良い常識と習慣を身につけることによって、自分はもちろんのこと、社会にも良い影響を及ぼすことができるんだよ」というメッセージを「第3章:常識と習慣」から読み取ることができます。

第4章:仁義と富貴

はい、第4章は「仁義と富貴」です。

「仁義」とは、「道徳上、守るべきこと」を意味しています。

「富貴」とは、「お金を持っており、身分が高いこと」を意味しています。

要するに「仁義と富貴」は、道徳を守った上でお金稼ぎをすることが正しいのだと教えてくれる章となっております。

世の中には、「お金稼ぎを頑張るのは、なんかカッコ悪い」という考えを持っている人もいますが、栄一はその考えを否定しているんですよ。

栄一は例として、本書の中で「宋が利益を得ることを否定した結果、人々の元気が無くなった」というお話をしています。

また、論語の教えの中にも、「道徳を守らないなら貧乏でいるほうがマシだけど、真っ当に稼いだ金ならなんの問題もないよ」という趣旨の言葉が残されているのです。

以上の話を踏まえると、「お金稼ぎは決して悪ではない。道徳がないお金稼ぎが悪いだけである」というメッセージを「第4章:仁義と富貴」から読み取ることができます。

第5章:理想と迷信

はい、第5章は「理想と迷信」です。

ここで言う理想とは、「現実的な発想」という意味です。

ここで言う迷信とは、「非現実的な発想」という意味です。

要するに「理想と迷信」は、「現実的な発想を持って行動しましょうね」ということを教えてくれる章となっております。

「何を当たり前のことを…」と思われたかもしれませんが、非現実的な発想で行動している人は案外多いと思います。

実は栄一のお姉さんが、20歳のときに心の病気になってしまったそうです。

その際、「お姉さんは祟られているから、祈祷したほうがいい」と伯父の母親に言われました。

栄一は馬鹿馬鹿しいと思っていたので、実際に祈祷をしにきた人に対して意地悪な質問をして追い返しました。

世の中にはスピリチュアルな発想を心の拠り所にしている人もいますので、僕はそういった発想を全否定するつもりはありません。

ただ、非現実的な発想の元に行動していては、意味のないことをし続けることにもなりかねませんよね。

なので基本的には、現実的と言える発想で行動したほうがいいと言えます。

また栄一は、情熱を傾けることができる「趣味」を持つことを推奨しています。

「本当に没頭できる趣味が見つかれば、いずれそれが世間に評価される仕事となる」というのが栄一の考えです。

以上の話を踏まえると、「現実的な発想の元に行動し、人生を熱く生きよ」といったメッセージを「第5章:理想と迷信」から読み取ることができます。

第6章:人格と修養

はい、第6章は「人格と修養」です。

「人格」とは、「その人が持つ人間性のこと」を意味しています。

「修養」とは、「人格を磨くこと」を意味しています。

要するに「人格と修養」は、人間性を磨く大切さと方法を教えてくれる章となっております。

まず、栄一の考える「素晴らしい人格」について定義しておきましょう。

栄一が考える素晴らしい人格とは、「私利私欲に走ることなく、周りの利益も考え、冷静な判断の元に行動できること」だと言えます。

この素晴らしい人格を獲得することによって、国家の発展に貢献できる人材になれると栄一は考えているのです。

では、そのような人格を獲得するためには、どんなことを意識すればいいのか?

栄一は、以下3つのポイントが大事だと主張します。

  1. 良心的であること
  2. 信頼されること
  3. 親や年長者をうやまうこと

この3つのポイントは、栄一が生涯の師している「孔子」や「孟子」の教えが軸になっております。

以上の話を踏まえると、「孔子や孟子の教えを元に人格を磨き上げ、国家の発展に貢献できる人物になってくださいね」というメッセージを「第6章:人格と修養」から読み取ることができます。

第7章:算盤と権利

はい、第7章は「算盤と権利」です。

ここで言う「算盤」とは、「お金儲けによって生まれる競争」を意味しています。

「権利」とは、「主張して然るべきこと」を意味しており、皆さんがイメージしている権利そのものだと言えます。

要するに「算盤と権利」は、お金儲けには当然競争が生まれるし、自分の権利も主張していいということを教えてくれる章となっております。

やや攻撃的な表現に聞こえたかもしれませんが、この主張には決して「他人を蹴落とす」という意味合いは含まれていません。

栄一は、競争には「良い競争と悪い競争」があると言います。

「良い競争」とは、自分を高めることで相手より上に立つイメージです。

「悪い競争」とは、足を引っ張ることで相手より上に立つイメージです。

つまり「競争」は勝者と敗者が生まれる側面がありますが、健全な高め合いの上ならOKというのが栄一の考え方になります。

また、栄一は自分の権利を主張することも推奨しています。

栄一の愛読書である「論語」は、道徳を説いている本であるため、たびたび「自分の権利を主張する発想が欠けている」と言われるそうです。

しかしそんなことはなく、論語の中にもちゃんと「正しい道理に進むなら、あくまで自分の主張を通してよい」ということが書かれています。

以上の話を踏まえると、「道徳を守っているなら、競争も権利の主張も行っていいんだよ」というメッセージを「第7章:算盤と権利」から読み取ることができます。

第8章:実業と士道

はい、第8章は「実業と士道」です。

ここで言う実業とは、「自分のお仕事」を意味しています。

「士道」は、「武士道」と変換したほうがイメージしやすいと思います。

「武士道」って硬派でカッコいいイメージがありますよね。

そのカッコいいイメージを持ってもらえれば、そんなに間違いはないと思います。

「実業と士道」は、「実業=武士道」だと主張している章です。

つまりこの章は、「論語と算盤」というタイトルのように、一見相なれない物事を結びつけている意味を含んでいます。

栄一はこの章で、以下のような言葉を残しています。

およそ人として、その生き方の本筋を忘れ、まっとうでない行いで私利私欲を満たそうとしたり、権勢に媚びへつらって自分が出世しようとするのは、人の踏むべき道を無視したものでしかない。

引用:現代語訳 論語と算盤

はい、いかがでしょうか?

栄一は私利私欲のために動く人間が多いことを、嘆き悲しんでいたのですね。

そして、そんな人間を正すために必要なのが、武士道というわけです。

栄一は武士道の重要な部分を、以下5つのポイントで表しています。

  1. みなが認めた正しさに沿うこと
  2. 心がきれいでまっすぐなこと
  3. 弱気を助ける心意気
  4. 困難に負けない意思
  5. 礼儀と譲り合い

「以上5つの心構えを持って実業に励みなさい」というメッセージを「第8章:実業と士道」から読み取ることができます。

第9章:教育と情誼

はい、第9章が「教育と情誼」です。

ここで言う教育とは、「精神を育てる崇高な教育」を意味しています。

「情誼」とは、「人情や誠意」という意味を持った言葉ですが、ここでは「孝行」のこととイメージしてもらえればOKです。

親孝行という言葉がありますよね。「孝行」は、それから親をとった言葉です。

要するに「教育と情誼」は、教育と孝行のあるべき姿について書かれている章となっております。

栄一はこの章で、「学問のために学問をしてる若者」を非難しています。

わかりやすく言うと、「良い大学に入るため」とか「周りにアピールするため」に勉強している姿を嘆いているのです。

もちろん、良い大学に入るためとして勉強することが現代において全く悪いとは思いません。

良い大学に入ることと生涯年収は、大きく関連してきますからね。

ただ栄一は、目先の利益のための勉強だけでなく、道徳や正義についても学ぶべきだと主張します。

なぜなら、道徳や正義が欠けている人間は、私利私欲に突っ走ってしまうからです。

また、孝行について栄一は、「強制するべきでない」という考えを持っています。

つまり、「親孝行しなさい」というセリフはアウトということです。

むしろ「親孝行しなさい」なんて言葉を吐けば、逆に親不孝者になってしまうと栄一は考えています。

「自然と孝行したいと思わせるためには、何事も強制せず、子供の発想を尊重することが大事である」という考えが、栄一の結論です。

以上の話を踏まえると、「目先の利益のための行動は慎みなさい。長期的な視野をもって学問や人と接しましょう。」というメッセージを「第9章:教育と情誼」から読み取ることができます。

第10章:成敗と運命

はい、第10章は「成敗と運命」です。

「成敗」とは、「堕落した人生を過ごせば、必ずしっぺ返しが待っている」ということを意味しています。

ここで言う「運命」とは、「100%運に左右されるものではなく、切り開けるもの」という意味を含んでいます。

要するに「成敗と運命」は、自ら道を切り開く意思を持って行動することで、良き人生を全うできるんだよということを教えてくれる章となっております。

栄一は物事の結果を運のせいにすることを嫌いますが、結果に運の要素があることは否定していません。

ただ、運が作用する部分など1~2割程度であり、大半は自分自身の行いが結果を決めるのです。

例えば「寒いから風邪をひいた」と言う者に対して栄一は、「風邪をひかないように身体を鍛えなかったお前が悪い」と言います。

ちょっと厳しい表現ですが、言っていることは間違っていないと僕は思いました。

万全の対策を練った上で風邪をひいたならしょうがないですけど、その対策を怠ったなら、それは自己責任だと言えますからね。

つまり栄一は、「成功とか失敗を運のせいにするなよ」と主張しているわけですが、実は「成功と失敗」に対してこんな言葉を残しています。

人は、人としてなすべきことを基準として、自分の人生の道筋を決めていかなければならない。だから、失敗とか成功とかいったものは問題外なのだ。かりに悪運に助けられて成功した人がいようが、善人なのに運が悪くて失敗した人がいようが、それを見て失望したり、悲観したりしなくていいのではないかと思う。成功や失敗というのは、結局、心をこめて努力した人の身体に残るカスのようなものだ。

引用:現代語訳 論語と算盤

はい、いかがでしょうか?

要するに、そもそも「成功や失敗にこだわることが間違っている」ということです。

真っ当な人生を歩めたのなら、それでいいじゃないか。

そんな想いをこの言葉から感じました。

以上の話を踏まえると、「運を言い訳にするような人間にはなるな。自分で運命を切り開く意思を持ちなさい。仮に結果が出なかったとしても、真っ当な人生を歩めたのならそれでいいんだ」というメッセージを「第10章:成敗と運命」から読み取ることができます。

まとめ

はい、これで「現代語訳 論語と算盤」の解説は以上になります。

最後に、1~10章に記されたメッセージを振り返ってみましょう。

「第1章:処世と信条」からは、「信条を守るために敵と戦いなさい。そして勝ったとしても決して調子に乗らないように」というメッセージを読み取ることができました。

「第2章:立志と学問」からは、「正しく大きな志を設定して人生を全うするためには、幅広く学ぶことが大事なんだよ」というメッセージを読み取ることができました。

「第3章:常識と習慣」からは、「良い常識と習慣を身につけることによって、自分はもちろんのこと、社会にも良い影響を及ぼすことができるんだよ」というメッセージを読み取ることができました。

「第4章:仁義と富貴」からは、「お金稼ぎは決して悪ではない。道徳がないお金稼ぎが悪いだけである」というメッセージを読み取ることができました。

「第5章:理想と迷信」からは、「現実的な発想の元に行動し、人生を熱く生きよ」といったメッセージを読み取ることができました。

「第6章:人格と修養」からは、「孔子や孟子の教えを元に人格を磨き上げ、国家の発展に貢献できる人物になってくださいね」というメッセージを読み取ることができました。

「第7章:算盤と権利」からは、「道徳を守っているなら、競争も権利の主張も行っていいんだよ」というメッセージを読み取ることができました。

「第8章:実業と士道」からは、「武士道の心構えを持って実業に励みなさい」というメッセージを読み取ることができました。

「第9章:教育と情誼」からは、「目先の利益のための行動は慎みなさい。長期的な視野をもって学問や人と接しましょう。」というメッセージを読み取ることができました。

「第10章:成敗と運命」からは、「運を言い訳にするような人間にはなるな。自分で運命を切り開く意思を持ちなさい。仮に結果が出なかったとしても、真っ当な人生を歩めたのならそれでいいんだ」というメッセージを読み取ることができました。

今回の解説で、「論語と算盤」に秘められたメッセージが伝わっていれば嬉しいです。

 

はい、では以上になります。

最後までご清聴、ありがとうございました!

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