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書籍レビュー

【幅広く学べ!】RANGE(レンジ)・知識の「幅」が最強の武器になる【要約・解説・感想】

この記事は、下記の動画を文字起こしした内容となっております。

こんばんは、TKです。

 

今回ご紹介する本は、「RANGE(レンジ)・知識の「幅」が最強の武器になる」という本です。

本書は、「何か一つのことに絞って勉強や練習をすることは危険だから、幅広く学ぶようにしましょうね」という主張を、研究結果や実例を交えながら展開している内容となっております。

世の中には一つのことに特化した結果、素晴らしい成功を収めている人がいますので、「専門領域を決めてそれに没頭することが正しい」と思い込んでしまうこともありますよね。

 

例えばタイガー・ウッズ。

彼は2歳という非常に若い年齢の時に、ゴルフ競技の10歳以下のクラスで優勝するという、とんでもない天才ぶりを発揮しました。

この活躍を見た父親は、「この子はゴルフのために生まれてきた。息子を導くのは自分の務めだ」と考え、タイガー・ウッズにゴルフ漬けの日々を送らせました。

 

結果としてタイガー・ウッズは、名実ともにゴルフ界でNO.1となったわけです。

この話を聞くと、「早い時期から才能を見極めて、英才教育をした方がいいんだ!」と思い込んでしまうのも無理はありません。

しかし本書の著者である「デイビット・エプスタイン」は、「タイガー・ウッズのような専門教育を施した人よりも、多様な教育を受けた人の方が目覚ましい成果を出すことが多い」と主張しています。

 

以上のことを踏まえ今回の動画では、「なぜ専門教育を施された人よりも、多様な教育をされた人の方が成果を出しやすいか?」「専門教育が孕む危険性とは何なのか?」そんな疑問を解き明かしていきます。

大まかな目次は、以下のとおりです。

  • 第1章:早期の専門教育は必要なのか?
  • 第2章:なぜ「専門特化」は危険なのか?
  • 第3章:幅広く学ぶことのメリット
  • 第4章:グリッドの強さが問題を引き起こす?
  • 第5章:僕たちは何を学べばいいのか?

この前編の動画では、①・②の内容を解説します。

③・④・⑤の内容は後編の動画で解説しますので、そちらも見ていただけると嬉しいです。

著者:デイビット・エプスタインのご紹介

デイビット・エプスタインは、アメリカの科学ジャーナリストとしてご活躍されている方です。

主に、スポーツ科学・医学・オリンピック競技などの分野を担当しており、彼の記事は多くの賞を受賞しているそうです。

また彼は、あのTEDトークで「アスリート達は本当により速く、強くなっているのだろうか?」というタイトルでスピーチをしています。

 

結構な実績がないとTEDトークで喋る機会は与えられないので、この経歴が彼の凄さを裏付けていると言えますね。

概要にTEDトークのリンクを貼っておきますので、興味のある方はぜひご覧になってください。

また彼は、このTEDトークに関連する内容の、「スポーツ遺伝子は勝者を決めるか?」という本を出版しています。

はい、ではそんな彼が書いた「RANGE(レンジ)・知識の「幅」が最強の武器になる」の内容を、「早期教育は必要なのか?」というテーマから解説していきます。

第1章:早期の専門教育は必要なのか?

冒頭では、「タイガー・ウッズは幼い頃からゴルフに没頭していた」というお話をしました。

本書ではこのタイガー・ウッズの対比として、ある選手が紹介されています。

その選手とは、ロジャー・フェデラーです。

サッカーもやっていたロジャー・フェデラー

ロジャー・フェデラーとはスイスのプロテニス選手でして、テニス選手ならまず知らない人はいないと言える、超有名選手です。

タイガー・ウッズの幼少期を踏まえると、「フェデラーも子供の頃からテニス漬けの日々を送っていたのかな?」と思うかもしれませんが、全くそんなことはありません。

子供の頃にはむしろサッカーにハマっており、10代半ばに至るまで、テニス以外のスポーツも楽しむような少年でした。

 

そして15歳の時に、テニスでスイスのジュニアチャンピオンになり、この頃から本格的にテニスに没頭するようになったそうです。

要するにフェデラーは、タイガーウッズに比べてなんと10年も本格始動するのが遅れているということです。

幼少期は幅広く取り組んだ方がいい

はい、ここまでのお話を聞くと「結局のところ、早期教育が良いのか悪いのかわからない!」と混乱されていると思います。

タイガー・ウッズのように2歳でキャリアを決めて成功している人もいれば、10代半ばでキャリアを決めて成功しているロジャー・フェデラーのような人も、世の中にはたくさんいますからね。

結論から言うと、「早期にキャリアを決めない方が成功しやすい」と言えます。

 

なぜ早期にキャリアを決めない方が成功しやすいか?その主張の根拠を指し示す調査をご紹介します。

専門能力の開発に関するいくつもの研究によると、エリートと呼ばれる選手は他の選手に比べて、専門的な練習に多くの時間を費やしていることが明らかになっています。

しかし、やがてエリートになる選手が専門的な練習をしている時間は、幼少期には少ないことが明らかになっているんですよ。

じゃあ幼少期に何をやっているかというと、専門以外の練習を自由に緩い感覚の下に行っているのです。

ウクライナのボクサー「ワシル・ロマチェンコ」も幼少期には、体操・バスケ・サッカー・テニスなどのあらゆるスポーツをやっていまして、その経験がボクシングのフットワークに活かされているそうです。

要するにこの研究結果は、「幼少期はなるべく自由にやらせて、具体的なキャリを決めるのは15歳以降でいい」ということを意味しています。

「親切な環境」では、専門教育が上手くいく

結論としては、「早期にキャリアを決めない方が成功しやすい」となるのですが、タイガー・ウッズのように早期の専門教育が上手くいっている人もいます。

なぜタイガー・ウッズは早期の専門教育が上手くいったのか?

それは、ゴルフというスポーツは「親切な環境」にあるからです。

 

「親切な環境?」と思われたと思いますので、「親切な環境」の定義について説明します。

「親切な環境」というのは、「ルールがとても明確であり、同じような問題が繰り返し起こるため、問題の修正が容易な環境」ということを意味しています。

こんなことを言うと、「ゴルフ舐めんなよ」と言われるかもしれませんが、本書にそう書いてありますので、どうか許してください(笑)。

 

他にも本書では、チェスも「親切な環境」にあると主張しています。

チェスのようなボードゲームもルールが明確で同じような問題が起こるので、修正がしやすいのは何となくイメージできますよね。

大半の物事は「意地悪な環境」にある

しかしゴルフやチェスのようにルールが明確に決まっていたり、同じような問題が繰り返し起こるジャンルというのは、実は少数派に当たります。

では、サッカーを例にして考えてみましょう。

サッカーは個人競技ではなく、11対11で戦うスポーツですから、ゴルフに比べて複雑な問題・駆け引きが生じるのは明白です。

 

視野を広くすれば、審判も勝敗に関わってきますよね。

ルールの線引きは非常に曖昧で、審判の匙加減で勝敗が分かれることはザラにあります。

また、試合を有利に進めるためには、コミュニケーション能力や相手の心理を読むといった、肉体的な強さとはまた別のスキルが必要になります。

 

さらにサッカーは全身を使いますので、あらゆるスポーツの経験が活かされるとも言えるでしょう。

このように考えると、サッカーで結果を出すためには「サッカーのことだけ考えれば良いわけじゃない」というのが、何となくイメージできると思います。

今はスポーツの枠組の中で考えましたが、「世の中」という視点で考えるとどうでしょうか?

 

世の中には常識やルールといったものが存在しますが、時代によって常識やルールは簡単に変更されますよね。

今まで学んできたことが全く役に立たなくなったり、逆に今まで役に立たなかったことが役に立つなんてこともあります。

そんな世の中において、幼い頃から一つのことに絞って教育を行うのは得策ではありません。

 

もちろんこのお話は、大人にも通用することです。

大人になればある程度キャリアの方向性が決まっていると思いますが、片足だけでも他ジャンルに突っ込んでおいて、多様性を失わないようにしてほしいと思います。

 

はい、ではこの章のまとめとして、本書からデイビット・エプスタインのありがたいお言葉を抜粋してご紹介します。

私たち全員が直面する課題は、専門特化がますます推奨され、要求されることさえある世界で、どうやって幅の広さや、多様な経験や、分野横断的な思考を維持していくかということだ。

世界の複雑さは増しており、世界がテクノロジーで相互につながって、さらに大きくなり、個人はごく小さな部分しか見えていない状況になっている。

その中では、タイガー・ウッズのような早熟さや明確な目的意識が求められる場面は確かにある。しかし、その一方でもっと多くのロジャー・フェデラーも必要になる。

幅広く初めて、成長する中でさまざまな経験をし、多様な視点を持つ「レンジ(幅)」のある人たちである。

引用:RANGE(レンジ)・知識の「幅」が最強の武器になる

第1章:まとめ

はい、ここまでが「第1章:早期の専門教育は必要か?」のお話になります。

では、第1章のポイントを簡単に振り返ってみましょう。

  • タイガー・ウッズのように早期の専門教育が上手くいく例もあれば、ロジャー・フェデラーのように、早期の専門教育が無かった選手もいること
  • 基本的にエリートと呼ばれる選手は他の選手に比べて、専門的な練習に多くの時間を費やしているが、幼少期は他ジャンルのスポーツに取り組んでいる傾向があること
  • 専門的な教育が上手くいくのは、ルールが明確で同じような間違いが起こりやすい「親切な環境」であること
  • 「世の中」という広い視点で見ると、僕らは親切な環境とは真逆の、「意地悪な環境」の中で生きていること

以上のことを押さえてもらえればOKです。

第2章:なぜ「専門特化」は危険なのか?

はい、では次に「専門特化の危険性」について掘り下げていきます。

専門を決めて勉強したり練習をすることで、タイガー・ウッズのような大成功を収めることもあるでしょう。

しかし大半の人にとっては、専門を決めつけて人生を歩むのは危険であることを、この章で理解して頂こうと思います。

 

具体的には、以下3つのテーマに分けて「専門特化の危険性」を解説します。

  1. 環境を変えることが難しくなる
  2. 視野の狭さが引き起こす悲劇
  3. 自意識過剰になる研究者

では、それぞれ解説します。

環境を変えることが難しくなる

個人的には、「環境を変えるのが難しくなること」が専門特化が引き起こす1番の弊害だと思っています。

もちろん、ある1つのジャンルにのめり込むことで、そのジャンルでの強さは増していくのは事実です。

しかし、そのジャンルを取り巻く環境が一生変わらないことなんてありえないので、特定の環境内ので強さを増すのは、むしろ柔軟性を失う危険があります。

 

ここで、専門特化によって柔軟性を失う例を、本書から抜粋してご紹介します。

ルールがわずかでも変更されると、エキスパートは柔軟性を失ってしまうようだ。研究では、ブリッジのルールを変更すると、ブリッジのエキスパートはそうでない人と比べて、新しいルールへの適応に苦労する。

また、別の研究では、経験豊かな会計士が、控除額に新しい税法を適用するように言われると、新人よりもうまくできなかった。

引用:RANGE(レンジ)・知識の「幅」が最強の武器になる

はい、いかがでしょうか?

今のお話の中で出てきた「ブリッジ」とは、トランプを使って行うゲームのことです。

2VS2の合計4人のプレイヤーがカードを出し合って、カードの強さで勝敗を決めるゲームなのですが、詳細を說明すると長くなるのでここでは割愛します。

 

少し話がそれましたが、要するに何が言いたいかというと、「専門特化しすぎることで、環境を変えにくくなりますよ」ということを言いたいのです。

人には、「現状維持バイアス」というバイアスが存在します。

簡単に言うと、人は現状にこだわりすぎて、環境を変えられない生き物なのです。

 

そしてその傾向は、1つのことにのめり込みすぎると強くなります。

よくキャリアを積んだ社会人が、「今更別の仕事なんてできないなぁ」なんていう不安をこぼすことがありますよね?

別にキャリアを変えようと思えば何歳からだって変えられるのですが、専門特化しすぎたことによって、現状を変えることが怖くなってしまうのです。

 

もちろん、タイガー・ウッズのように大成功を収められれば、キャリアを変更する必要なんてありません。

また、ゴルフはルールが頻繁に変わるスポーツでもないため、環境が変わらないという特徴があります。

ただ、大半の人は1つのジャンルだけに絞って成功を収めることは難しいですし、所属する環境が変化しないなんてこともほぼありません。

 

柔軟性を失わないためには、今の仕事を頑張りつつも、片足だけは他のジャンルに突っ込んでおく節操の無さが大事になると思います。

視野の狭さが引き起こす悲劇

はい、2つ目の危険性が、「視野が狭くなってしまうこと」です。

実は専門特化をしすぎたがゆえに、銀行内である悲劇が引き起こされたので、その実例をご紹介します。

2009年に連邦政府のプログラムが立ち上がり、住宅所有者の中で、苦労はしながらも部分的に借り入れの返済ができる人たちに対して、月々の返済額を引き下げるよう銀行を支援するという試みが行われた。よいアイデアではあったが、実際にはこんなことが起こった。

銀行の住宅ローン貸付担当部門は、プログラムに基づいて住宅所有者が月々返済する額を引き下げた。一方で、同じ銀行で差し押さえを担当する部門は、住宅所有者の返済額が突然減少したことに気づいて、債務不履行を宣言し、住宅を差し押さえた。

引用:RANGE(レンジ)・知識の「幅」が最強の武器になる

はい、いかがでしょうか?

せっかく月々の返済額を下げてあげようとしたのに、内部の人間にそれを邪魔される形になってしまったわけです。

どうしてこんなことが起こったのか?

 

それは、自分の専門領域だけにのっとった判断をしてしまったからです。

あなたが務める会社でも、自分の仕事にのめり込みすぎるがゆえに、周りが見えなくなっている人がいると思います。

このように専門特化をしすぎると、同じ会社内にも関わらず、利害が一致しないような行動を人間はとってしまうのです。

 

1つの物事にのめり込むのは、一見、カッコよくも見えます。

しかし、のめり込みすぎると周りが見えなくなり、悲劇を起こす原因にもなりうるので、いろんな物事に意識を向ける姿勢を持ってほしいと思います。

自意識過剰になる研究者

はい、3つ目の危険性が、「自意識過剰」になってしまうことです。

人は1つのジャンルに長い年月を注ぎ込むことで、良くも悪くもスキルが向上し、自信がついてしまいます。

もちろん、自信が持てるようになるのは素晴らしいのですが、中には自信を持ちすぎて正しい判断ができなくなる人もいます。

 

この主張の裏付けとして、ある研究をご紹介しします。

アメリカにフィリップ・テトロックという政治学者がいるのですが、その方がある調査を行いました。

284人の専門家を集めて、政治経済に関する予測を行わせたんですよ。

 

結論から言うと、専門家の予想は全く当たらなかったそうです。

「そんなことあり得ないよ」と言ったことが15%の確率で起きたり、「間違いなく起こるよ」と言ったことは4回に1回以上は起こりませんでした。

逆にいろんな物事を勉強しており、かつ多様な意見を受け入れる謙虚な人は、予測の精度が高かったそうです。

 

この結果を見てテトロックは、「予測をする人が考える自分の予測能力と、実際の予測の結果の成果の関係は、たいてい反比例していて興味深い」という皮肉を込めた言葉を残しています。

なぜこんな結果になってしまうのか?

それは、専門家は自分の領域にこだわりすぎるがゆえに、多様な意見を受け入れる姿勢が失われるからです。

 

つまり「多様な意見を予測に反映できない結果として、予測の精度が下がる」ということですね。

このように自意識過剰な人は、自分の考えが正しいと思いこみますし、努力を怠る傾向もあります。

そんな人に、なりたくないですよね?

 

自意識過剰になって周りに迷惑を掛けないためにも、あらゆる物事に興味を持ち、そしてあらゆる意見を受け入れる意識を持ってほしいと思います。

第2章:まとめ

はい、ここまでが「第2章:なぜ「専門特化」は危険なのか?」のお話になります。

では、2章のポイントを軽く振り返ってみましょう。

ここまでのお話を聞いて、

  • 専門特化が、柔軟性を失わせること
  • 専門特化が、視野を狭くすること
  • 専門特化が、自意識過剰の原因になること

以上のことを理解していただければ嬉しいです。

 

はい、長くなってきたので、前編はここまでにします。

今回の動画では、「専門特化が上手くいく例はレアケースであり、ほとんどの人にとっては悪い結果をもたらす」ということを伝えてきました。

前編ではネガティブな内容が続いたので、後編では逆に、「幅広く学ぶこと」というテーマを掘り下げていこうと思います。

 

具体的には、

  • 幅広く学ぶことのメリット
  • グリッドの強さが問題を引き起こす?
  • 僕たちは何を学べばいいのか?

以上の内容を解説していきます。

ぜひ後編も見ていただけると嬉しいです。

 

はい、では以上になります。

第3章:幅広く学ぶことのメリット

こんばんは、TKです。

 

今回ご紹介する本は、「RANGE(レンジ)・知識の「幅」が最強の武器になる」という本です。

なお、この動画は後編の動画になります。

この動画を見る前に前編の動画を見ていただけると、後編をより楽しんでいただけると思います。

 

前編では、「専門特化が上手くいく例はレアケースであり、ほとんどの人にとっては悪い結果をもたらす」ということを伝えてきました。

以上の内容を踏まえて、後編では以下の内容について解説していきます。

  • 第3章:幅広く学ぶことのメリット
  • 第4章:グリッドの強さが問題を引き起こす?
  • 第5章:僕たちは何を学べばいいのか?

では、それぞれ解説していきます。

 

「行き過ぎた専門特化が悪い結果を招く」ということは、裏を返せば、「幅広く学ぶことでが良い結果をもたらす」と言えますよね?

いろんなことに触れたり勉強したりすることは、なんとなく良いイメージを持ってると思います。

ただ、「明確にどんなメリットがあるのか説明できない」というのが本音ですよね。

 

そこで今回は、幅広く学ぶことのメリットについて、3つのテーマに分けて解説していきます。

そのテーマとは、以下のとおりです。

  • 初めての状況に対応できる
  • 他分野の知識が役に立つ
  • イノベーションは幅広さと非効率がカギ

では、それぞれ解説していきます。

初めての状況に対応できる

人は幅広く学ぶことによって、初めての状況に対応する力がついていきます。

理由は、抽象的なモデルをたくさん持つことができるからです。

おそらく、

悩む人
悩む人

なにを言ってるのかよくわからん。

と思われたと思いますので、わかりやすく説明します。

まずは話を理解してもらうために、「抽象化」についてお話します。

「抽象化」というのは、「ある物事の重要な要素を浮き彫りにする作業」という意味です。

 

例えば、「フランス革命」という出来事がありますよね?

これは、専制政治という支配的な環境をぶっ壊すために起きた市民革命です。

事実だけを見ると、「専制政治という支配的な環境をぶっ壊すために起きた市民革命」と表現できます。

 

では、この事実をもっと曖昧な表現にしてみましょう。

そうすると、「上に立つ人が好き勝手にやっていると、下の人間から反感を買う」と表現できます。

このように事実の具体性を下げることを、「抽象化」と言います。

 

要するに何が言いたいかというと、「幅広く学ぶことによって、抽象化した表現を自分の中にたくさんストックしておける」ということです。

この抽象化した表現は、あらゆる場面で役に立ちます。

例えば、初めて会社を立ち上げることになったとしたら、先程のフランス革命の抽象化が活きてきます。

 

もしフランス革命のことを勉強していれば、「好き勝手やると必ず反感を買うから、みんなの意見に耳を傾ける意識を持とう」と考えることができますよね。

このように、幅広く学び抽象化しておくことで、初めての状況にも対応する力がついていきます。

まさにこれが、「教養を身につけると役に立つよ」と言われる理由だと僕は思っています。

 

「自分には関係のない話だから」と突き放すことなく、いろいろなことを勉強して、初めての状況にも立ち向かえる強さを築いていきましょう。

他分野の知識が役に立つ

はい、次のテーマは「他分野の知識が役に立つ」です。

一見あまり関連が無さそうな分野同士の知識が、実は役に立っているという例がよくあります。

有名なのが、スティーブ・ジョブズが没頭していた「カリグラフィー」です。

 

カリグラフィーというのは、文字を美しく書くための手法のことを意味しています。

ジョブズは大学を退学した後もこっそりと大学に通い続け、カリグラフィーの授業を受けていました。

そのカリグラフィーを学んでいた理由は、「面白さに魅了されたから」というなんともピュアなものでした。

 

そして10年後、アップルでマッキントッシュを開発することになったのですが、その開発中にカリグラフィーの記憶が蘇ってくるわけです。

そしてカリグラフィーの知識をふんだんに盛り込んだ結果、美しい文字を持つマッキントッシュが生まれました。

このように「コンピューター」と「カリグラフィー」という一見関連が無さそうな分野同士が化学反応を起こす例が世の中にはたくさんあります。

 

僕個人の小さい話をすると、学生時代に小論文の勉強を頑張ってきたことが話を組み立てるスキルにつながり、結果としてYouTubeの発信に活かされています。

当然ですが、学生時代にはYouTubeのことなんて、全く考えていませんでした。

このように、知識は分野の壁を超えて、思いがけず役に立つものなんです。

 

もちろん、全ての勉強が将来必ず役に立つなどと、綺麗事を言うつもりはありません。

ただ、どの知識がいつ役に立つかは絶対に予想できないので、興味を持ったことは損得など考えずに、どんどん学んでいってほしいと思います。

イノベーションは幅広さと非効率がカギ

はい、3つ目のテーマは、「イノベーションは幅広さと非効率がカギ」です。

ここで言う「幅広さ」のイメージを理解するには、先ほどお話したジョブズの話を思い出してもらえればOKです。

カリグラフィーを学んだことが、マッキントッシュの美しい文字につながったことを思い出してください。

 

この例を思い出せば、幅広く学ぶことで思わぬ組み合わせが生まれ、新しい技術が生まれる、つまりイノベーションが起こることは容易にイメージ出来ると思います。

ただ、イノベーションを起こすためには幅広さだけでなく、「非効率」がカギになるんですよ。

悩む人
悩む人

なんで「非効率」なんかがカギになるの?

と思われたと思いますので、詳しく説明します。

 

まず結論から言うと、「非効率」がカギになる理由は、イノベーションは思いがけない発見から生み出されるものだからです。

またジョブズの話に戻ってしまうのですが、ジョブズは効率を求めてカリグラフィーを学んでいたわけじゃありませんよね?

ただ単に面白かったから、やっていただけなんです。

 

また、あのイチローもこんな名言を残しています。

無駄なことって、結局無駄じゃない。

合理的な考え方ってすごく嫌い。

遠回りすることが一番近道。

いやー、胸に突き刺さる、鋭い名言ですよね。

僕はこの名言が、すごく好きです。

合理的な発想の下に行動していたら、結局は誰かと全く同じような道を歩むだけになるので、個性が無くなると思っています。

 

無駄や遠回りは、あなただけのオリジナリティ溢れる発想をもたらしてくれます。

ぜひあなたには、非効率を除外せず、非効率を愛す人間になってほしいと思います。

3章のまとめ

はい、ここまでが「第3章:幅広く学ぶことのメリット」のお話でした。

 

では、この章でお話したことを簡単に振り返ってみましょう。

  • 幅広く学ぶことで、初めての状況にも立ち向かえること
  • 他分野の知識が、思いがけず役に立つこと
  • 「非効率」がイノベーションのカギになること

以上のことを理解してもらえればOKです。

第4章:グリッドの強さが問題を引き起こす?

はい、では次に角度を少し変えまして、「第4章:グリッドの強さが問題を引き起こす」というテーマを深堀りしていきます。

ここで言うグリッドとは、「やり抜く力」という意味です。

普通に考えたら、「やり抜く力」が高いほうが、成功をつかめそうな気がしますよね?

 

実際にこの「グリッド=やり抜く力」に焦点を当てた本は、結構なヒット作となっております。

しかし、このグリッドが強すぎると、実はある問題を引き起こすこともあるのです。

もちろん、グリッドが強いことを真っ向から否定するつもりはありません。

 

なにかで成功を収めるには、グリッドの強さが重要になることも、重々承知しています。

ただ、グリッドが強すぎるがゆえに、悲惨な結果を招いている例もあることを、ここでは知っておいてほしいと思います。

85%の人間がサボっている?

アメリカで世論調査を行うギャラップ社という企業が、ある調査を行いました。

150カ国・2,000人超の社会人に、「仕事への熱量はどれくらいあるか?」という質問をしたんですよ。

すると、とんでもない結果が返ってきました。

 

なんと回答者の85%が「仕事に熱心に取り組んでいない」「積極的にサボっている」と答えたそうです。

めちゃくちゃ悲しい事実ですよね。

85%もの人間が、「やりたくない仕事を粘り強く続けている」というのは、個人的にはかなり驚きでした。

サンクコストを捨てよう

ただ、今の話を聞いて違和感を覚えた人もいると思います。

それは、「やりたくない仕事を続けるのは、やり抜く力が強いと言えるのだろうか?」という違和感です。

たしかに、「やり抜く」のと「だらだら続ける」のは同じ継続でも、中身が全く違うので、明確に分けたほうがいいと僕も思います。

 

結論から言うと、「やり抜く」のと「だらだら続ける」の違いは、サンクコストが根底にあるかどうかの違いなんですよ。

「やり抜く」のは、明確な目標や純粋な感情に従って行動している、崇高なイメージです。

「だらだら続ける」のは、今までやってきたことを無駄にしたくないという、サンクコストに引っ張られているイメージです。

 

ここで言うサンクコストというのは、「回収できない費用」のことを意味しています。

要するに、判断の足を引っ張る邪魔者ということですね。

 

「せっかく今まで勉強してきたから」とか「せっかく入社できたから」のような発想でやり抜くのは、正しい発想だと思えないですよね。

このようにサンクコストを意識し続けると、やりたくないことを続ける原因になります。

サンクコストを持っていても良いことはないので、思い切って捨てる潔さが重要です。

サンクコストが幅広さを失わせる

はい、では本書のメインテーマである「幅広く学ぶこと」に、サンクコストの話をつなげていきます。

ここまでの話をまとめると、以下のような流れが浮かび上がってきます。

  1. 「今までやってきたことを無駄にしたくない」という考えが強い
  2. だから、今やっていることを本当はやめたいけど、だらだらと続ける
  3. 結果として、他のジャンルに挑戦する機会が無くなる
  4. 幅広く学ぶことができなくなる

という流れですね。

 

要するにここで言いたいことは、「サンクコストを意識してしまうと、幅広く学ぶ機会が奪われる」ということです。

今まであなたは、いろんな「勉強・仕事」を経験してきたと思います。

ただ、それに引っ張られて人生の選択肢を狭めてしまうのは、本末転倒です。

 

勉強・仕事の経験は、あなたの人生の選択肢を広げてくれるものです。

これからは、「この勉強をしてきたからこの仕事に就こう」と発想するのではなく、「今までやってきた勉強とはジャンルが異なるけど、興味がある仕事にチャレンジしよう」というフットワークの軽さを持ってほしいと思います。

第4章のまとめ

はい、ここまでが「第4章:グリッドの強さが問題を引き起こす?」でした。

この4章のお話は、心当たりがある人も多かったと思います。

人は時間やお金をつぎ込んだことに、依存してしまうものです。

 

だから人間は、ギャンブルや水商売からなかなか抜け出せないんですよね。

偉そうにいろいろと語りましたが、僕だってサンクコストを完全に切り捨てることはできていません。

これから一緒に、サンクコストを切り捨てる意識を持っていきましょう!

 

はい、ではこの章の内容を簡単に振り返っていきます。

  • 「やり抜く力=グリッド」は、ときに悲惨な結果を招くこともある
  • 「サンクコスト」が根底にあるグリッドが、悲惨な結果を招く
  • 幅広く学ぶためにも、サンクコストを捨てる潔さが重要になる

以上の内容を理解していただければ幸いです。

第5章:僕たちは何を学べばいいのか?

はい、では最後に、「僕たちは何を学べばいいのか?」というテーマを解説していこうと思います。

ここまで、「専門特化しすぎることなく、幅広く学びましょうね」といった内容のお話を展開してきました。

ただ、「幅広く学べって言われても、結局何を学べばいいのよ?」という疑問があると思います。

 

そんな疑問に答えて、この動画の締めくくりとさせていただきます。

結論→好きなことを学ぼう

はい、ではまず結論から申し上げます。

あなたが素直に学びたいと思うことを学んでください。

そう主張する理由は、「人は好きなことに没頭できる生き物だから」です。

 

逆に「これを勉強しなさい!」と言われたことって、ほとんど勉強する気になれませんよね?

なのに世の中の親御さんは、子供に「勉強しなさい!」という悪魔の呪文を唱えてしまうのです。

あなたが学びたいと思ったことなら、なんだっていいのです。

 

お金に興味があるなら会計を学べばいいですし、絵を描くのが好きならデザインを学べばOKです

「流行り」とか「将来役に立つかどうか」といった視点は、この際捨てて構いません。

ちなみに僕は学生時代によくお金の勉強をしていました。

 

そのおかげで株に興味が持てるようになりましたし、変な金融商品に騙されないリテラシーを身につけることもできました。

さらにその後は簿記の資格を取ったり、経理として働いたりと、いろんな経歴を積むこともできています。

もちろん、お金の勉強を始めたときには、そんな将来を思い描いていませんでした。

 

全ては、純粋な「学びたい」という気持ちから始まっています。

スティーブ・ジョブズが学んでいたカリグラフィーも、単に学びたいから学んでいただけです。

あなたもぜひ、純粋な感情に任せて、学びたいことを学んでください。

個人的には歴史がおすすめ

ただ、「学びたいことを学べと言われても、学びたいことなんてないよ」とお悩みの方もいると思います。

そういった気持ちは、すごくわかります。

僕も高校生のときは、勉強したいことなんてありませんでした。

 

そんな悩める人におすすめしたいのが、歴史の勉強です。

将来何が役に立つのかはわかりませんが、歴史は役に立つ可能性が高いと僕は思っています。

理由は、人間の本質を学べるからです。

 

歴史の勉強を進めていくと、「カネ・地位・名誉」といった欲望に人間は支配されていることが理解できます。

そんな歴史を学んでおけば、「どうすれば人から賞賛されるか?」「何をすれば叩かれるか?」といった抽象化された学びを得ることができます。

それに、歴史はパワフルなお話が多く面白いので、勉強を継続しやすいというメリットもあります。

 

もし「何をやればいいのか全くわからん!」という人は、歴史の勉強を始めてみるといいかなと思います。

まとめ

はい、「RANGE(レンジ)・知識の「幅」が最強の武器になる」の解説は以上になります。

個人的に本書の内容は、僕の気持ちを救ってくれる内容でした。

なぜかというと、僕は良くも悪くも飽き性で、いろんなことにチャレンジしてきたからです。

 

18歳のときには大学で生物学を学んでいたのですが、途中で飽きたので、21歳のときに、他校の経済学部に編入しました。

大学を卒業してからは経理として働いていたのですが、経理も飽きたので辞めてしまいました。

そして現在は、フリーランスとしてサービスを売ったり広告収入を得る生活をしています。

 

18歳の頃を思い返すと、全く想像もしていなかったキャリアを、今歩んでいます。

ムダになった勉強もありますが、すごく役に立っている勉強もあります。

また、ムダになったと思っている勉強も、いつの日か役に立つかもしれません。

 

そんな発想を本書でさらに強く持つことができたので、本書には感謝感激です。

 

はい、では、前編も含めた総まとめをしていこうと思います。

今回の解説では、

  • タイガー・ウッズのように早期の専門教育が上手くいく例もあれば、ロジャー・フェデラーのように、早期の専門教育が無かった選手もいること
  • 専門特化が、柔軟性を失わせるなどのデメリットを含んでいること
  • 幅広く学ぶことで、初めての状況にも立ち向かえること
  • 他分野の知識が、思いがけず役に立つこと
  • 「サンクコスト」が根底にあるグリッドが、悲惨な結果を招くこと

以上の内容について解説してきました。

今回の解説が、あなたの人生の選択肢を広げることになれば幸いです。

また、本書の大枠を說明するために、省略しているお話がかなりあります。

 

興味を持った方は、ぜひお手にとって読んでください。

では最後に、本書からデイビット・エプスタインのありがたいお言葉を抜粋して終わりにします。

ミケランジェロが大理石の塊に取り組んだように、あなたも自分だけの旅やプロジェクトに取り組もう。その過程では、意欲を持って学び、道を進む中で順応して時にはそれまでの目標を捨てる。

完全に方向を変えることにも躊躇しない。技術イノベーションからコミック本まで、さまざまな領域のクリエーターを対象とした研究によると、多様な経験を持つ個人は専門家のグループよりも創造に貢献するという。

もし、ある分野から全く別の分野に移っても、その経験がムダになることはない。

引用:RANGE(レンジ)・知識の「幅」が最強の武器になる

はい、では以上になります。

最後までご清聴、ありがとうございました!

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