今日は、たまたま読んだ本の感想を、備忘録として残しておこうと思います。
読んだのは、恩田陸さんの『チョコレートコスモス』という小説です。
書店をぶらぶら歩いているときに見つけたのですが、タイトルを見た瞬間に、なんか心惹かれて購入しました。
「チョコレート」と「コスモス」が組み合わさっているなんて、なんだか不思議に感じたんですよね。
ただ、本書を読み進めて知ったのですが、チョコレートコスモスという名前の花が本当にあるんですね。てっきり、造語かと思っていたんですよ。
まあ、そんな勘違いからこの本に出会ったので、無知も悪くないと思わされたというか、無理やり自己正当したくなるような気持ちになりました。
内容をざっくり紹介
『チョコレートコスモス』は、演劇をテーマにした小説です。
天才的な演技力をもった少女・飛鳥が、舞台の世界に足を踏み入れていく…そんな物語です。
全体としては会話や心理描写が中心で、大きな事件が起こるわけではないんですが、天才少女に周りが翻弄される様子が見どころといった内容でした。
飛鳥はとにかく、真似が異次元レベルで上手いんですよ。
ゆえに、役になりきった瞬間は、まるで飛鳥という存在が消えてしまうほどの演技力を見せてくれるわけです。
ただ、飛鳥は自分の稀有な才能には全く気付いていない。
そんな天然なところも天才っぽくていいんですよね。
読後の率直な感想
最後まで読み切りましたが、どハマりするほどではなかったかなという印象です。
演劇という普段触れない世界に触れられて新鮮さはあったのですが、それを味わい尽くすほどの何かが僕にはまだ足りていないという感じでしょうか。
つまり、「チョコレートコスモス」が面白くないということではなく、僕の感性に合わなかった部分が大きいですし、僕のコンディションが悪かった可能性も大いにあります。
やや話が逸れますが、読書が面白く感じられるかどうかって、コンディションが結構大事だと思っているんですよね。
今の僕はギャンブルやポルノに依存した脳を持っているので、低刺激の物事を楽しめなくなっているような気がします。
したがって今は、そういった過度に刺激が強いものを少しずつ減らしていっている最中です。
いつかまた、「チョコレートコスモス」を読む日が来たら、その時は今以上に楽しめるようになっていたいですね。
また、実は文芸評論家の三宅香帆さんもこの本を読んだ経験があるのですが、三宅さんは絶賛していました。
受験生時代に立ち読みにて出会ったようなのですが、あまりにもおもしろすぎて勉強に集中できなくなりそうなので、受験が終わってから購入したようです。
なお、その三宅さんの感想が載っている動画を下に貼っておきますので、よろしければご覧ください。
三宅さんが熱を持って語っている様子を見ると、なんだか悔しさというか虚しさみたいなものが胸にワッと広がってきちゃいますね。
もっと感性が高い人間になれるよう、精進していきたいです。
印象に残った描写
ネガティブな発言がダラダラと続いていますが、もちろん印象に残った描写もあったので、読んで後悔はしていません。
具体的には、シネラリアという花の名前についてやりとりされているシーンがなんだか印象に残っているんですよね。
実はシネラリアですね。今はサイネリアという名前に変わっちゃっています。
なぜかというと名前に「しね」が入っていて縁起が悪いからです。
この話を見たとき、僕は、世の中の不条理さになんだか面食らった気持ちになりました。
縁起が悪いからとという理由だけで、名前そのものが変えられてしまう。そこに、花の気持ちとかは全く関係ないんですよ。
でも、どこか安心したような感覚も不思議とあります。
なぜなら、どれだけベストを尽くしても、結果って絶対にコントロールできないという良い意味での諦めも芽生えたような気がするからです。
こういう複雑で穏やかな気持ちになれたので、この本に出会った価値はあるかなと思っています。
エンディング
というわけで、今日はたまたま読んだ本『チョコレートコスモス』について、淡々と感想を残してみました。
やはり、具体的な目的を持って選んだ本よりも、直感で手に取った本の方が予想外の思い出が残りますね。
これからも、直感で手に取って新鮮な出会いを楽しみたいです。
以上です。ありがとうございました。