先日、東野圭吾が書いた「秘密」を読みましたので、感想を書いていきます。
お話は、ある家族のお母さん(直子)と娘(藻奈美)が2人でスキー旅行に遊びに行くところからスタートします。お父さん(平助)は遊びに行かず仕事をしていまして、家に帰ればテレビを観るといった過ごし方をしていました。そしてテレビを観ていると、ある旅行会社のバスが事故を起こしたというニュースが流れてきます。実はそのバス、妻と娘が利用しているものでした。
平助はすぐに病院に行って状況を確認したのですが、幸いなことに娘は大きな怪我もなく助かりました。ただ、母親は亡くなってしまいます。残された娘と力強く生きようと決心した時に、とんでもないことが起こります。なんと娘の藻奈美は、「私は直子だ」と主張するのです。生き残ったのは、間違いなく娘でした。ただ、生き残った魂は妻のものだったのです。
つまり、娘の体に妻の魂が移ったような状況です。この状況、当然平助は混乱しますよね。見た目は娘なのに、魂は妻。どう接するのが正解か分からず、時に大きな衝突も起こしてしまいます。
ただ、そんな状況の中でも最適な生き方を考え抜き、お互いがお互いを想う愛のある選択に、僕は心惹かれました。最後はハッピーエンドとは言えませんが、「それが最善の選択だったのかもしれないな」と思わせてくれる、非常に切ない描写となっております。
切なく穏やかな物語が好きな人に、ぜひ読んでほしい作品です。