この記事は、下記の動画を文字起こしした内容となっております。
こんにちは、こんばんは、TKです。
この動画は聴くだけでも理解できる構成にしていますので、目を休めたい方・運転中の方などは、ぜひ音だけでお楽しみください。
今回ご紹介するのは、鈴木義幸さんの著書「新 コーチングが人を活かす」という本です。
本書は、「初めて部下を持ったが、どう接したらよいか自信がない・つい一方的に話してしまい、自発的な動きを引き出すことができない・なんとなく不満そうな相手にどう接したらいいか悩んでいる」といった悩みを、コーチングを用いることで解決する方法を教えてくれます。
あなたは、「コーチング」をご存知でしょうか?
おそらく、「何となく聞いたことあるけど、具体的な内容はわからない」とか「まあ、自分には関係ないでしょ」と思っている人が多いと思います。
僕も本書を読むまでは、コーチングのことは知りませんでしたし、自分には関係ないと思っていました。
しかしですね、本書を読んでその考えはガラッと変わりましたね。
むしろコーチングは、全ビジネスマンに役立つといっても過言ではないスキルなんですよ。
今回はそんなコーチングについて、基礎的な部分から実践的なところまでをわかりやすく解説していきます。
今回解説するテーマは以下の通りです。
- ① コーチングとは?
- ② 相手との信頼関係を築く方法3選
- ③ 相手の発見をうながす方法3選
では、1つ目のテーマから見ていきましょう!
① コーチングとは?
まず結論から言うと、コーチングとは「問を2人の間に起き、一緒に探索しながら発見をうながす」というアプローチのことを意味しています。
どんな人も、課題や目標を抱えていますよね?
その課題や目標に向かっての道しるべを指し示してあげる、というイメージを持ってもらえればOKです。
ポイントは、「発見をうながす」というところにあります。
世の中にはコーチングのことを、「能力を引き出すこと」と考えている人もいるのですが、それはちょっと間違った認識です。
「コーチ」という言葉に引っ張られるせいか、まるで上から目線で接することをイメージしてしまいがちですが、そうじゃないんですね。
コーチングは基本的に1対1で行いますが、そこに上下関係は無いと思ってください。
「発見をうながす人」と「発見をうながされる人」の2人がいるだけです。
ではなぜ、コーチングは対等な関係であることを望むのでしょうか?
それは、コーチングの本質が「未来を創り出す主体的な人材を創ること」にあるからです。
今、目の前にいる人の主体性に働きかけ、その人が未来に向けて飛躍するように、いかに自分のコミュニケーション能力を使えるのか?
そんな姿勢がコーチングには求められるのですね。
例えば、「1+1の答えは2だよ」とか「1+1の解き方はこうだよ」というアプローチは、コーチングではありません。
コーチングとは教えることではなく、「発見をうながす」ことですからね。
なのでこの場合は、「1+1を解くにはどんな発想が必要になりそう?」というアプローチがコーチングになります。
別に、こちらが答えを持っている必要はありません。
今は「1+1」という簡単な問題を例にしてしまいましたが、実際は簡単に答えが見つからないような問題を話し合う場合がほとんどですからね。
はい、ここまでの説明で、コーチングの意味はなんとなくわかっていただけたでしょうか?
「コーチングとは教えることではなく、問を2人の間に起き、一緒に探索しながら発見をうながすこと」と覚えてもらえればOKです。
また、このコーチングは誰か特定の人だけが身につけるべきスキルではありません。
誰かと一緒に問いを考える機会は、働いている方なら誰でもありますよね?
したがって、コーチングは全ビジネスマンにとって役立つスキルと言えるのです。
はい、以上の説明でコーチングの意味は、なんとかわかっていただけたかと思います。
しかし、「コーチングなんてホントに自分にできるの?」と不安に思いますよね?
大丈夫です、ご安心ください。
コーチングにもレベルがあって、上級者レベルのコーチングをするのはたしかに難しいです。
ただ、普段の仕事場で使うレベルのコーチングは、ちょっとしたコツを知るだけで使いこなすことができます。
ではさっそく、そのちょっとしたコツについて見ていきましょう!
② 相手との信頼関係を築く方法3選
まず覚えてほしいのが、「相手との信頼関係を築く方法」ですね。
コーチングの最終目標は、「未来を創り出す主体的な人材を創ること」にあるのですが、この目標を達成するには、信頼関係を築くことは欠かせません。
いくらいろんなアプローチを取られても、そこに信頼関係が無かったら、そのアプローチと向き合おうという気になれませんからね。
なのでまずは焦らず、相手との信頼関係を築いていきましょう。
1つ目に紹介したいのは、「出会いの一言目に、新しさをこめる」という方法です。
あなたは職場の廊下などで誰かとあったとき、どのような一言を投げかけていますか?
実は、もうこの「出会ったときの一言目」から、コーチングはスタートしているんですよ。
ここで投げかけてほしいのは、「相手の近況に関する事柄」になります。
例えば、「髪の毛切ったんだね」「先週、新しい仕事とったんだってね」と一言もらえるだけでも、「自分に関心を持ってくれている」という気持ちになりますよね。
また、相手がスポーツ好きの方なら、「昨日、巨人勝ったね」という話でもOKです。
このように、相手に関する話をスッと一言目から言える人は、信頼されますし、わかりやすく言うとめちゃくちゃモテます。
僕が大学生のとき、会うたびに僕の好きなサッカーの話をしてくれる友達がいたんですけど、その友達は男女から大人気でしたね。
本書の主張や僕の実体験からも、「出会いの一言目に、新しさをこめる」という意識は、かなり大事だと思います。
2つ目に紹介したいのは、「正直に自分の気持を話す」という方法です。
なぜこの方法が有効かというと、相手の警戒心を解くことができるからですね。
「議論に絶対負けない法」という本を書いた、ゲーリー・スペンスというアメリカの弁護士がいます。
本書が出版された時点で、なんと彼は、一度も裁判で負けたことがありませんでした。
なぜ負けなかったかというと、「連戦連勝のプレッシャーのせいで、毎回毎回逃げ出したくなる不安な気持ちを、陪審員に伝えていたから」だそうです。
はい、まあさすがに、弁護士としての能力が高かったことも要因の一つだと思いますが、「気持ちを正直に話す」という行動が信頼の獲得に繋がったことは理解できますよね。
人はつい自分の弱みを隠しがちになりますが、それは信頼獲得の上では、逆効果になります。
あなた周りにも「正直に話していないっぽい人」がいると思いますが、なんか信頼できないですよね。
なので、あまり世間体などは気にせず、正直な気持ちをさらけだす勇気を持ってほしいと思います。
3つ目に紹介したいのが、「相手のタイプを見極める」という方法です。
なぜタイプを見極める必要があるかというと、タイプに沿ったコーチングをしないと、主体的な行動はうながせないからですね。
例えばあなたが、ジックリと物事を観察し、それに関するデータを集め、小さな達成をコツコツ積み上げていくことの中に楽しさを見出すようなタイプであれば、「まあ細かいことは気にしないで、とにかくやってみようよ」と急がせる人に対してストレスを感じますよね。
逆にあなたが、詳細なプランを立てる前に、まず実行してその結果を確かめようとするタイプであれば、データ収集や分析を強調してくる人にストレスを感じますよね。
もしあなたが今、誰かとの関係が上手くいっていないと感じているのであれば、その人のタイプに合った接し方ができていないのかもしれません。
繰り返しになりますが、「コーチングとは教えることではなく、問を2人の間に起き、一緒に探索しながら発見をうながすこと」です。
なので、相手のタイプを無視した一方的な指導はコーチングにはなりません。
「相手はどう関わられることを求めているか?」という視点は、常に頭に入れておいてほしいと思います。
③ 相手の発見をうながす方法3選
はい、では最後に、「発見をうながす方法」というコーチングにおいて最も重要な部分について解説します。
先程は信頼関係について解説しましたが、それはあくまでも、コーチングのスタートラインに立つための行動です。
ここからがコーチングの重要ポイントですので、ぜひ習得してほしいと思います。
1つ目に紹介するのは、「チャンク・ダウン」という方法です。
チャンク・ダウンとは、相手の言葉を具体的な言葉に置き換えてあげることを意味しています。
なぜ具体的な言葉に置き換えてあげるかというと、現状を明確に理解することをうながせるからです。
例えば相手が、「あの案件、上手くいっていないんですよね…」と言ってきたとします。
そしたらあなたは、「上手くいっていないのは、具体的にどこが?」と質問します。
すると相手は、「なかなかチームのメンバーを束ねるのが難しくて…」と言いました。
その答えに対してあなは、「どんなところに難しさを感じるの?」と質問します。
すると相手は、「A君の自己主張が強くて…」と言いました。
その答えに対してあなは、「そうなんだ、A君はどんなことを強く主張しているの?」とさらに質問します。
こんな感じで、質問を繰り返していくことによって、相手は現状を明確に把握できるようになりますよね。
結果として、「現状に対する対策を思いつきやすくなる」ということです。
このチャンクダウンはお互いにとって根気のいる作業ですが、信頼関係が築けていれば、問題なく行えるはずです。
2つ目に紹介するのは、「なぜではなく、なにを使う」です。
どういうことかというと、「なに」を頭につけて質問をすることで、問題を客観的に捉えられることをここでは主張しています。
ちょっとイメージしにくいと思いますので、例文を見てみましょう。
「なぜ目標を達成できなかったの?」
「なにが目標の障害になったの?」
はい、それぞれの例文をみてどう思いましたか?
「なぜ」という質問だと、なんか攻撃されている感覚を覚えますよね。
しかし「なに」という質問だと、純粋に原因を考えようという気分になりますよね。
なんでほぼ同じ質問なのに感じ方が異なるかというと、責任の対象が違うからです。
「なぜ」から始まる質問は、責任の対象があなたに向いています。
しかし「なに」から始まることで、責任は外部的要因に向きます。
ここでいう外部的要因は、障害ですね。
はい、このように質問の仕方をほんのちょっと変えるだけで、相手の反応は劇的に変化することを、胸に刻んでおいてください。
3つ目にご紹介するのは、「沈黙を効果的に活用する」です。
コーチングは教えることではなく、発見をうながすことですから、相手が考える時間、つまりは沈黙の時間をゆっくり待ってあげる心の広さが重要になります。
例えばあなたが何か質問されて、ちょっと考え始めてからすぐに、「質問がわかりにくかった?」とか「あっ、具体的にはこういうことなんだけど」とか言われたらどう思いますか?
「ちょっとは考えさせてよ!」って思いますよね。
しかしですね、あまりにも沈黙の時間が長いと、それはそれで気まずくなってしまいます。
なので、もし質問をしたときに返事が遅いと思ったら、以下の言葉をかけてあげてください。
「好きなだけ時間を使ってゆっくり考えてください。それまで黙っていますから」
この一言だけで、相手は「ゆっくり考えてもいいんだ」と安心感を得ることができます。
強調しておきたいのは、この一言の本質は、「相手を信じる」ということにあります。
相手を信じてあげないと、相手は素直な発言ができなくなってしまいますからね。
ぜひ、何か言いたくなっても一度グッとこらえて、沈黙の時間を共有してほしいと思います。
まとめ
はい、これで「新 コーチングが人を活かす」の解説は以上になります。
ではまとめとして、今回ご紹介した内容をサクッと振り返りましょう。
- ① コーチングとは?→問を2人の間に起き、一緒に探索しながら発見をうながすこと
- ② 相手との信頼関係を築く方法3選→「出会いの一言目に、新しさをこめる」「正直に自分の気持を話す」「相手のタイプを見極める」
- ③ 相手の発見をうながす方法3選→「チャンク・ダウン」「なぜではなく、なにを使う」「沈黙を効果的に活用する」
はい、今回のお話、いかがでしたでしょうか?
「コーチングって、自分にもめちゃくちゃ関係ある話じゃん!」と思ってもらえたら嬉しいですね。
ただ、今回お話した内容は本書の1部分であり、まだまだ紹介できていないことがたくさんあります。
他にも、
- 目標達成に目を向ける方法
- 視点・切り口を変える方法
- 主体的な行動をうながす方法
など、コーチングを行う上で必要になるスキルのお話が、盛りだくさんの1冊となっています。
コーチングを身につければ、関わる人全てに良い影響を与えることができますので、興味を持った方はぜひ本書を手にとって読んでみてください。
では、本書を読んで最も心に残った「神の一文」をご紹介して終わりにします。
発見をうながすセリフを使っても、そこに相手に対する信頼が乗っていなければ相手は何も探り当てることはできないでしょう。
今度、部下があなたに相談をもちかけたら、たとえどんなに素晴らしい提案が浮かんだとしても、あえて相手にきいてみてください。
「君はどうしようと思うの?」
それに対して、“必ず相手は内側に何かを探り当てる“という超弩級の信頼を乗せて。
はい、以上になります。
ご清聴、ありがとうございました!