この記事は、下記の動画を文字起こしした内容となっております。
こんにちは、こんばんは、TKです。
今回ご紹介するのは、柳川 範之(やながわ のりゆき)さんの著書「東大教授が教える知的に考える練習」という本です。
(2024/10/05 06:17:13時点 Amazon調べ-詳細)
本書は、「情報がたくさんあふれていて、そのうえAIの発達によって人々の仕事が奪われると言われる時代を、人間が持つ考える力を使うことで乗り切っていこう!」そんな希望あふれるメッセージが込もった内容となっております。
テクノロジーの発展によって、僕たちの生活は一気に便利になりましたよね。
大量の情報に瞬時にアクセスできますし、簡単な仕事はAIが勝手に処理してくれます。
ただ、そんな時代だからこそ、人間の強みである「考える力」を発揮する必要性も高まってきました。
「単純に知識を蓄えるだけじゃなく、考える力が無い人間はAIに仕事を奪われちゃうよ!」
こんな主張、1度は聞いたことありますよね。
ただ、そうは言われても「考える力って何なのよ?」という気持ちになるのが正直なところだと思います。
「考える力って何?」「考える力を身につける方法は?」そんな疑問に答えてくれるのが、今回ご紹介する「東大教授が教える知的に考える練習」というわけですね。
難しいお話はなるべく省いていますので、ぜひお気軽な気持ちで聞いていってください。
今回は、以下3つのテーマで解説を進めていきます。
- 現代に必要な能力とは?
- オリジナリティーを生み出す方法
- 大事なのはクセをつけること
ではさっそく、1つ目のテーマから見ていきましょう!
① 現代に必要な能力とは?
はい、1つ目のテーマは「現代に必要な能力とは?」です。
結論から言うと、現代に求められるのは「オリジナリティーを生み出す能力」です。
なぜオリジナリティーを生み出す能力が求められるのか?
それは、現代のテクノロジーで実現できることを考えれば理解できます。
テクノロジーの発展によって、様々なことができる時代になりましたよね。
具体的な例として、「情報を簡単に検索できる」ようになりました。
何かわからないことがあれば、ググれば簡単に情報を手に入れられる。
つまりテクノロジーの発展によって、「情報を記憶する価値が低下した」ということです。
例えば日本の首都がわからなくたって、「日本 首都」と検索すれば、一瞬で「東京都」という回答を得ることができます。
このように、情報は誰だって簡単かつ一瞬で手に入れられるので、単に知識を詰め込むだけでは、人としての強みを発揮できないのは明白ですよね。
もちろん、暗記が全く必要ないとは言いません。
全ての情報をいちいち検索していては、それはそれで時間がかかり過ぎてしまいますからね。
それに、いろんな知識を持っていると、人から「頭が良い」と評価されることにもつながります。
つまりここで言いたいのは、「テクノロジーの発展によって記憶の価値が下がってきたから、記憶することに加えて、他のことにも力を入れたほうがいいよね」ということです。
知識を詰め込むことも必要ですが、それだけじゃダメな時代なんですね。
では具体的に僕たちは、どんなことに力を入れればいいのでしょうか?
それが、「考える力を身につけること」になります。
ただ、「考える力」と言われても表現が曖昧すぎて、よくわからないですよね?
そこで今回は、その考える力を明確に定義します。
ここで言う考える力とは、最初に述べた「オリジナリティーを生み出す能力」です。
この「オリジナリティーを生み出す能力」は、人間だけが持つ素晴らしい能力になります。
未来のことはわかりませんが、少なくとも現時点において、AIがオリジナリティーを生み出すことはありません。
AIができるのは、「明確な答えがあることを素早く処理すること」であって、いまだかつて答えがないようなことに対しては、答えを出すことができないのです。
しかし今の主張に対して、「AIだってオリジナリティーは生み出せる!実際にAIが脚本を書いた映画だってあるだろう」という反論もあると思います。
たしかに、AIが脚本を書いた「Sunspring」という映画が2016年に公開されて話題にはなりました。
ただ、話の流れはめちゃくちゃでストーリーとして成り立っていませんので、まともに見れたものじゃないというのが本音です。
それに、現時点でAIにできるのは、「Sunspring」のように遊びに近いようなものではないでしょうか?
ここで主張しているオリジナリティーとは、「ある問題を解決する・人々を感動させる」という使命が含まれています。
オリジナリティーと言っても、単に今までにない発想をすればいいわけじゃないのです。
その発想が人々を救ったり、感動させたりしなければ意味がありませんよね。
そして、そんな使命を含んだオリジナリティーは、現時点では人間しか生み出せません。
だから、「オリジナリティーを生み出す能力」が現代人にとって必要な能力になるのです。
はい、ここまでの説明を聞いてどう思ったでしょうか?
「オリジナリティーを生み出すことが重要なのは何となくわかったけど、そんな能力自分にはありません…」とネガティブな気持ちになった方もいると思います。
結論から言うと、全く心配いりません。
オリジナリティーを生み出すことは誰でもできます。
ちょっとしたコツを知ればいいだけなんです。
では以上のお話を踏まえて、次に「オリジナリティーを生み出す方法」について解説します。
② オリジナリティーを生み出す方法
あなたは「オリジナリティー」という言葉を聞いたとき、どんな印象を抱きますか?
中には、「ゼロから全く新しい物事を考えること」という印象を持っている人もいると思います。
しかし、その考えはオリジナリティーを生み出すためには不要ですので、捨てちゃってOKです。
むしろ、逆なんですね。
オリジナリティーは、「たくさんの情報の寄せ集めによって生まれるもの」と思ってください。
例として、カレーうどんで考えてみましょう。
カレーうどんを思いついた人は、完全にゼロからカレーうどんを思いついたわけじゃないですよね。
カレーうどんを発明する前に、「カレー」も知っていましたし、「うどん」も知っていたはずです。
こんな言い方をすると怒られるかもしれませんが、カレーうどんは、既存の料理を組み合わせただけなんですね。
しかしこれが、「オリジナリティーを生み出す」ことなんですよ。
今はカレーうどんを例に上げましたが、絵だって同じです。
「絵を描く」という行為はまさにオリジナリティーを求められる代表例ですが、その絵だって完全にゼロから生み出されたわけじゃないですよね。
画家はいろんな技術や知識を身につけた上で、絵を描いています。
何にもないところから絵を描いているわけじゃありませんが、それでもオリジナリティーあふれる絵はこの世にたくさんありますよね。
いやむしろ、あらゆることを知っているからこそ、唯一無二の表現ができると僕は思っています。
長くなりましたが、まずは、「オリジナリティーを生み出すためには、元となる情報を持っていることが不可欠」ということを覚えておいてください。
ただ、「オリジナリティーを生み出すためには情報が必要」と言われても、世の中には無数の情報がありますから、どんな情報を選びぬけばいいのかわからないですよね。
では、具体的に僕たちは、どんな情報を手に入れればいいのでしょうか?
結論から言うと、なんでもOKです。
柳川先生は本書の中で、「実は大量情報への接し方は極めて簡単です。それは、流しっぱなしにするだけです」と主張しています。
しかしこの主張を聞いて、「いやいや、自分に関係のない情報を仕入れても無意味でしょ!関係のある情報に絞って仕入れたほうがコスパいい!」と思われたかもしれません。
たしかに、その考えは一理あります。
ただ、その発想だと「ありきたり」な発想しか生まれないのは事実です。
新しいうどんを作ろうと思って必死にうどんの勉強をしても、インド料理を勉強しなければ、「カレーうどん」という発想に行き着くことはありませんからね。
なので、あえて情報は絞らずに、いろんなところから情報をGETしてください。
「テレビ・漫画・ゲーム・新聞・旅行」あらゆることが情報源になります。
しかし、「例えば管理職として働いていたら、漫画が役に立つようなことはないでしょ!やっぱり、情報は絞るべき!」と思われた人もいるかもしれません。
結論から言うと、漫画も管理職として働いている人に役に立ちます。
例えば「鬼滅の刃」
この漫画は管理職として働く上で、めちゃくちゃ有益な教えがあります。
鬼滅の刃には、産屋敷耀哉(うぶやしきかがや)というキャラがいるのですが、彼は優しさの塊のようなキャラです。
彼はどんな暴言を吐かれてもそれを受け止め、常に笑顔で受け答えします。
そんな彼は、クセのある鬼殺隊全員から慕われているんですよ。
彼を見ていると、「上に立つものはとにかく器の大きさが大事なんだな」そう思わされます。
もし管理職として働いていれば、この産屋敷の振る舞いは確実に仕事に活きてきます。
なぜなら、「部下の指導をするときに、産屋敷の振る舞いを取り入れてみよう」そう考えることができるからです。
このように、一見関係の無さそうなジャンルから学びを得ることを、抽象化といいます。
どんな情報からも抽象化によって、他のジャンルに使える学びが得られることがありますから、情報を選定する必要などないのです。
むしろ、思わぬ化学反応を生むためにも、他ジャンルの情報を取り入れるのは必須とも言えるでしょう。
ただ、ここで注意点があります。
それは、問題意識が無ければ、どんな情報も右から左に流れてしまうということです。
あなたも毎日ニュースを見ていると思いますが、頭に残る情報はほとんどないですよね。
なぜ情報が残らないかというと、問題意識が無いからなんです。
なので柳川先生は、「情報に対して網を張れ」という主張しています。
どういうことかと言うと、「問題意識を持ちましょう」ということですね。
例えば、「部下を指導する方法を身につけたいなぁ…」と思って生活していれば、鬼滅の刃の産屋敷の振る舞いは確実に頭に残ります。
裏を返せば、頭に残らなかった情報は「今のあなたに必要ない情報」ということですから、忘れても気にする必要はありません。
「残った情報を抽象化して他のジャンルに結びつけていく」この意識を持ってもらえればOKです。
はい、では一旦、ここまでのお話をまとめますね。
- オリジナリティーはあらゆる情報の組み合わせによって生まれること
- 抽象化によって、関係無さそうな情報でも役に立つこと
- 問題意識を持つことによって、必要な情報が頭に残ること
以上3点を押さえてもらえればOKです。
では最後に、「大事なのは習慣をつけること」というテーマを解説して終わりにします。
③ 大事なのはクセをつけること
ここまで、オリジナリティーを生み出す方法について解説しましたが、お話を聞いてどう思いましたか?
おそらく、「情報を抽象化して他のジャンルと結びつけていくなんて、自分にできるかどうかわからない…」と不安に感じた方もいると思います。
まず結論を言ってしまうと、すいません、オリジナリティーを生み出す方法はすぐにできるようにはなりません!
理由は、オリジナリティーを生み出す方法は、クセをつけることによって身につくものだからです。
例えばいくら自転車に乗る方法を勉強しても、実際に乗ってみないことには、自転車に乗れるようになりませんよね。
オリジナリティーを生み出す方法も、全く一緒です。
方法を知ったからって、すぐにできるわけないのです。
なので、最初は抽象化したり問題意識を持ったりすることに苦労すると思います。
しかし、それはしょうがないことなのです。
どんなことだって、最初は上手くできません。
しかし、根気強く続けていくことで、次第にできるようになっていきます。
実際に本書では、以下のような主張が書かれています。
誤解しないでいただきたいのは、抽象化して理解できるようになることが、考える土台ではないということです。調理器具として揃えておく必要があるのは、あくまでも、抽象化して理解しようとするクセだけです。
「ああ、抽象化っていうのは、大事なんだなあ」「単に情報をそのまま受けとるのではだめで、抽象化の工夫が必要なんだなあ」と思うことがポイントなのです。
はい、いかがでしょうか?
本書についてさんざん説明してきた僕だって、抽象化を完璧に使いこなせているわけではありません。
「最初はできなくたって問題ない」
このようにあまり力を入れず、軽い気持ちで本書の教えを受け取ることで、徐々にオリジナリティーあふれる人間へと成長できると僕は思いました!
まとめ
はい、これで「東大教授が教える知的に考える練習」の解説は以上になります。
ではまとめとして、今回ご紹介した内容をサクッと振り返りましょう。
- ① 現代に必要な能力とは?→オリジナリティーを生み出す能力
- ② オリジナリティーを生み出す方法→問題意識を持って、あらゆる情報を抽象化する
- ③ 大事なのはクセをつけること→最初からできるわけじゃない
ただ、今回お話した内容は本書の1部分であり、まだまだ紹介できていないことがたくさんあります。
特に第5章「頭に残った情報は熟成し、やがて知性に変わる」では、抽象化した情報を有効活用する方法について深く掘り下げた、上級者向けのお話が書かれています。
本書の教えをより身につけたい方は、ぜひ本書を手にとって、5章を熟読してほしいと思いました。
(2024/10/05 06:17:13時点 Amazon調べ-詳細)
では、本書を読んで最も心に残った「神の一文」をご紹介して終わりにします。
大切なのは、あまりあがかないことです。自然に機が熟すのを待つと、網が太く強くなり、解決策が考えられるようになっていきます。
はい、以上になります。
ご清聴、ありがとうございました!