この記事は、下記の動画を文字起こしした内容となっております。
こんにちは、こんばんは、TKです。
今回ご紹介するのは、マイケル サンデルさんの著書「実力も運のうち 能力主義は正義か?」という本です。
マイケルはハーバード大で教授として働いている哲学者でして、「これからの「正義」の話をしよう 」でも有名な人ですね。
ではまず最初に、本書のメインメッセージをご紹介します。
それは「成功できたからって調子に乗るなよ!」です。
世の中には「成功者」と呼ばれる人たちがいますよね。
では、その成功者たちはなぜ成功できたのか?
成功者自身にこの質問をしたら、「自分の実力を高めるために努力をしてきたからだ!」と答えると思います。
しかしマイケルに言わせれば、それは「運が良かっただけ」なんですよ。
こんなこと言うと「努力を否定するのか?」と怒られるかもしれませんが、決して努力することを否定してるわけではありません。
ただ、その努力ができたのも「運が良かったから」というのがマイケルの考えになります。
そもそもなぜ「成功できたからって調子に乗るなよ!」なんて主張をマイケルはしているのか?
それは「努力すれば成功できる!」という考えのもとに行動すると、いろんなトラブルが起きちゃうからです。
以上の話を踏まえて今回の動画では、以下3つのテーマについて解説します。
- 実力は運で決まる理由とは?
- マイケルが目指す理想とは?
- 調子に乗らないようにしよう
今回の動画を最後まで見ていただければ、「努力すれば成功できる!成功できた俺は偉いい!」そんな偏見を取り除くことができます。
そして偏見が取り除かれることで、お金とか学歴で人を判断しない、心豊かな人間になれるのです。
今回の教えを知っておくのと知っておかないのでは、「心豊かな人間になる」という点において大きな差が生まれますので、ぜひ最後まで見てほしいと思います。
では、1つ目のテーマから見ていきましょう。
① 実力は運で決まる理由とは?
「実力は努力によって決まる!」そう考えている人が多いと思いますが、意外とそんなことはありません。
では具体的に実力は運で決まる理由を、2つご紹介します。
高学歴の親はお金持ちだから
1つ目の理由は、「高学歴の親はお金持ちだから」です。
もうこれは日本でもざんざん言われていることですよね。
結局、お金持ちの子供に生まれることで、良い大学に入れる可能性は高まります。
実際このお話の根拠を示すデータがありますので、ご紹介します。
ハーバード大学やスタンフォード大学の学生の3分の2は、所得で上位5分の1に入る家庭の出身だそうです。
所得で上位20%の家庭の中から、66%の学生が入学しているわけですから、やはりお金が入学のしやすさに影響を与えているのは間違いありません。
レベルの高い大学に入るにはレベルの高い教育を受ける必要があり、その教育にはお金がかかりますからね。
ただ、「教育にお金がかかるから」という理由はまだマシな方です。
中にはお金を使って、不正に入学させようとする親もいます。
実際にアメリカでは2019年3月に、子供を不正に入学させたとして、23人もの親が訴えられたそうです。
以上の話から、実力を示す「学歴」を手に入れることには、親の収入が影響することがわかりますよね。
そしてその親を、子供は選ぶことができません。
なので、実力は運で決まるという考え方ができるのですね。
生まれた時代が良かったから
はい、2つ目の理由が「生まれた時代が良かったから」です。
例として、ウサイン・ボルトで考えてみましょう。
結論から言ってしまうと、ウサイン・ボルトがスプリンターとして活躍できたのは、時代に恵まれている部分が相当に大きいんですよ。
例えばオリンピックや世界陸上が全く無い時代に生まれていたら、ボルトはあそこまで成り上がることができたでしょうか?
多分、できなかったですよね。
また、世界1足が速くなったのも、これもまた運のおかげなんですよ。
もちろん、ボルトがなんの努力もしてこかなったとは言いません。
ただ、「ボルトは世界1走る努力をしたか?」と言われれば、そうじゃありません。
実際にボルトは、練習パートナーであるヨハン・ブレークのほうが練習熱心なことを認めています。
以上のお話から、生まれた時代や生まれた持った能力が、実力に大きな影響を与えているのは間違いないですよね。
不正が起きたり、心の余裕がなくなる
はい、ここまでのお話で、実力と言われるものは「運」に相当左右されることが、イメージしてもらえたと思います。
しかし世の中の大半の人は「実力=努力の証」と考えていますよね。
その結果、お金の力で子供を良い大学に入れるという、不正な手を使って実力を獲得する人が続出してしまうのです。
また、例え不正なことをしなかったとしても、「実力=努力の証」と考えていることで、良い大学に入れなかった人を見下すようになってしまいます。
つまり「実力=努力の証」という考えは、人を不正に走らせ、余計なプライドを持たせてしまうのです。
だからマイケルは「成功できたからって調子に乗るなよ!」という主張をしているわけですね。
「実力は運で決まる」
そう考えることで、「不正をしない・人を見下さない・周りの環境に感謝できる」そんな人間になれると僕は思います。
② マイケルが目指す理想とは?
はい、2つ目のテーマは「マイケルが目指す理想とは?」です。
「成功できたからって調子に乗るなよ!」と主張するマイケルは、実力を評価する考えを否定しています。
理由はこれまで説明してきたとおり、「実力は運で決まる」からです。
「実力は運で決まる」のであれば、実力で評価される世の中は不公平になってしまいますからね。
では、僕たちは具体的にどんな考えの下に生きればいいのでしょうか?
結論を言うと「共通善」に従って生きばいいと、マイケルは主張します。
共通善とは、「世界中のみんなが正しいと思う考え」です。
世界中のみんなが正しいと思うわけですから、確実にみんなハッピーになれますよね。
もちろん、今あなたが思っていることはわかっています。
「世界中のみんなが正しいと思う考えなんて、あるわけないじゃん!」と思っていますよね。
正直に言うと、僕もそう思っています。
ただ、マイケルだって共通善が「実現できない理想」であることくらい、わかっています。
大事なのは、共通善が何かを確定させることじゃありません。
「共通善とは何なのか?」と話し合いを重ねていく姿勢、これが大事だとおっしゃっているのです。
「世界中のみんなが正しいと思う考え」なんて、もちろんありません。
しかし話し合いを重ねることで、「世界中のみんなが正しいと思う考え」に近づくことは可能ですよね。
だからマイケルはあえて「共通善」という理想を主張し、「話し合うことをサボるなよ」というメッセージを僕たちに送っているのです。
はい、ここまでのお話を聞いてどう思ったでしょうか?
「共通善なんて自分には関係ないね」そう思われた方もいるかもしれません。
たしかに共通善のお話はややスケールが大きすぎて、自分事と思えないのも事実です。
では最後に、「本書の話を踏まえて僕たちはどのように行動すればいいのか?」そんな内容について解説します。
③ 調子に乗らないようにしよう
結論を言うと「調子に乗らないようにしよう」
このメッセージをぜひ胸に刻んでほしいです。
あなたは自分の力で入試に合格したし、自分の力で就職もできたと思います。
しかしどの成功も、あなたの努力だけでつかみとったわけじゃありません。
入試にしろ就職にしろ、支えてくれた親や友達が周りにいたはずです。
もちろん、あなたが努力してきたことはわかっています。
しかしその努力をできたことすら、周りの支えがあったからではないでしょうか?
ここで、少し自分の話をさせてください。
僕は独学で大学に合格した経験がありまして、正直に言うと、自分の力で合格できたと思っていました。
しかし、それは全くの間違いです。
生活をサポートしてくれた親、一緒に勉強してくれた友達がいなければ、合格できていなかったと思います。
僕が大学に合格できたのは、ただ単に運が良かっただけなんです。
今では素直にそう思えます。
ぜひあなたも「調子に乗らないようにしよう」という意識を持ってみてください。
そうすれば、人として正しく生きることができ、些細なことに素直に感謝できる、そんな心豊かな人間になれるはずです。
まとめ
はい、これで「実力も運のうち 能力主義は正義か?」のお話は以上になります。
では、まとめとして今回の動画の内容をサクッと確認しましょう。
①の「実力は運で決まる理由とは?」では、親や時代によって実力が左右されるお話をしました。
②の「マイケルが目指す理想とは?」では、「共通善を目指して話し合いを重ねるべき」というお話をしました。
③の「調子に乗らないようにしよう」では、調子に乗らないようにすることで、心豊かな人間になれるというお話をしました。
ただ、今回お話した内容は本書の1部分であり、まだまだ紹介できていないことがたくさんあります。
興味を持った方はぜひ本書を手にとって読んでみてください。
では、本書を読んで最も心に残った「神の一文」をご紹介して終わりにします。
われわれはどれほど頑張ったにしても、自分だけの力で身を立て、生きているのではないこと、才能を認めてくれる社会に生まれたのは幸運のおかげで、自分の手柄ではないことを認めなくてはならない。
はい、以上になります。
ご清聴、ありがとうございました!