この記事は、下記の動画を文字起こしした内容となっております。
こんにちは、こんばんは、TKです。
今回ご紹介する本は、「幸福について」という本です。
本書は、幸福の総量を決定づける要因を解き明かしつつ、僕たちが幸福になるため必要な行動を教えてくれます。
今回ご紹介する「幸福について」は、19世紀半ばごろから読みつがれている古典でして、記されている言葉には非常に重みがあります。
本書の著者はアルトゥル・ショーペンハウアー
彼が書く文章には「そんたく」が全く無いので、たびたび危険な発言も垣間見れます。
今回は掘り下げませんが、「幸福について」の中には「これ、女性差別じゃないの?」と思われるような1文も記載されていました。
従って、ショーペンハウアーの言葉を鵜呑みにするのは少々危険です。
しかし、彼の考えは非常に的を得ていると感じるものもありますので、「なるほど、そういう考えもあるのだな」くらいの感覚で受け止めるのがちょうど良いかと思います。
今回の動画の構成は以下のとおりです。
- 著者:ショーペンハウアーのご紹介
- 1番大事なのは人間性
- 健康が9割
- 孤独を愛せ
- 老いることは不幸じゃない
この動画を最後まで見ていただければ、幸福についての考えに新たな1ページが刻まれることをお約束します。
では、ショーペンハウアーの人物像から見ていきましょう。
著者:ショーペンハウアーのご紹介
ショーペンハウアーは1788年2月22日に、ドイツのダンツィヒで生まれた哲学者です。
ちなみに、1952年にダンツィヒはポーランドの都市となっております。
ショーペンハウアーの父親は裕福な商人でした。
父親はショーペンハウアーを商人として育てようとするのですが、ショーペンハウアーはそれを拒みます。
「俺は学者になりたいんだ!」そう彼は主張するわけです。
しかし父親も譲りません。
父親は半ば強引に、ヨーロッパ漫遊の旅にショーペンハウアーを連れていきます。
その旅を通じて、ショーペンハウアーに商人としてのスキルを身につけようとしていたのです。
しかしそこでショーペンハウアーは、貧しい人々の暮らしを目の当たりにします。
ちょうどその頃はナポレオン戦争の最中でして、貧困に苦しむ国民の姿や、なんと絞首刑の場面もショーペンハウアー少年は見てしまいました。
このときの経験が、より哲学にのめり込む一因になったと思います。
旅が終わりドイツに帰った直後に、父親は病気で亡くなってしまいました。
また、同時期に母親はどこかへ旅に出ちゃいます。
母親はいろんな男と遊んだり本を書いたりして、ショーペンハウアーとはあまり関わらない人生を過ごすようになりました。
自分を縛る者がいなくなったショーペンハウアーは、本格的に学問の道に進みます。
21歳のときに、ゲッティンゲン大学で「プラトン」と「カント」について学びます。
24歳のときには、ベルリン大学で「フィヒテ」について学びます。
よくわからない人が3名出てきましたが、いずれも有名な哲学者です。
その後は論文を書いたり、本を書いたり、大学で講義をしたりと、学問に没頭する人生を送ったショーペンハウアー。
そんな彼の活動の中から生まれたのが、今回ご紹介する「幸福について」というわけです。
辛い少年時代を乗り越え、青年時代を学問につぎ込んだ彼は「幸福について」どのような考えを持っているのか?
さっそく解き明かしていきましょう。
1番大事なのは人間性
はい、本書の第1章は「根本規定」というやや小難しいタイトルで始まります。
要するにこの章で解説しているのは「幸福を決定づける根本」です。
ショーペンハウアーはその根本を3つに分解して僕たちに教えてくれます。
では、その根本3つについて書かれた文章をご覧ください。
一、その人は何者であるか。すなわち最も広義における人品、人柄、個性、人間性である。したがって、ここには健康、力、美気質、徳性、知性、それらを磨くことが含まれる。
二、その人は何を持っているか。すなわち、あらゆる意味における所有物と財産。
三、その人はいかなるイメージ、表象・印象を与えるか。この表現は周知のように、その人は他者の表象・印象において何者なのか、すなわち、そもそも他人の目にどのように映るかという意味である。したがって実質的には、その人に対する他者の評価であり、名誉と地位と名声に分かれる。
出典:幸福について
はい、いかがでしょうか?
要するに幸福は「①人間性・②所有物・③他者評価」の3つで決まるということですね。
結論を言うと、最も大事な要素は「人間性」です。
なぜ「人間性」が最も大事なのか?
それは、「人間性」は直接的に快・不快に影響を与えるのに対し、「所有物・他者評価」は間接的に快・不快に影響を与えるものだからです。
ちょっと、難しい表現になってしまいました。
要するに、「人間性」を磨けば世界を美しく感じることができる。
そして「所有物・他者評価」は、その世界を作っている脇役に過ぎないということです。
この主張に絡めて、ショーペンハウアーはこんな厳しい言葉を残しています。
愚かな読者は、かなりありふれた出来事をかくも壮大で見事なものにつくりあげることのできる詩人の旺盛な想像力のためではなく、かの詩人は恰好の事件に遭遇したといって詩人をうらやむ。
出典:幸福について
はい、いかがでしょうか?
ショーペンハウアーは、「あの人は凄い人生を送っているなぁ」と羨むのは想像力が足りないだけだとバッサリと切り捨てているのです。
つまり人間性を磨けば、どんな人生でも壮大に感じられるということを言っています。
幸福を決定づけるのは客観的な事実ではなく、主観的な事実である。
そして主観的な事実をキレイに見えるようにするには、人間性を磨くのが1番ということですね。
健康が9割
では、人間性を磨くために僕たちは具体的に何をすればいいのでしょうか?
結論から言うと、「健康を守ること」です。
「なんか当たり前の結論だなぁ」と思われたかもしれません。
しかし、物事の本質は当たり前のことが結構多いです。
そして、意外と当たり前のことを徹底できないのが人間なんですよね…。
ショーペンハウアーは健康に関して、以下のような言葉を残しています。
私達の幸福の九〇%は、もっぱら健康を基盤としている。健康であれば、すべてが楽しみの源泉となる。逆に健康でなければ、いかなる種類の外的財宝といえども、楽しむことができない。残りの個人的特性にまつわる財宝、すなわち精神や感情や気質にそなわる特性ですら、病弱ゆえに低調になり、たいそう萎縮してしまう。だから何よりもまず互いに健康状態をたずね、互いの無病息災を祈るのは、故なきことではない。
出典:幸福について
はい、いかがでしょうか?
「健康を損なえば、どんなことも楽しめなくなるよ」ショーペンハウアーはそう言っているわけです。
この主張に僕は大賛成です。
不健康なときって、何事も楽しめなくなっちゃいますもんね。
僕は肉体的にも精神的にも病気になったことがありますから、健康が幸福にとって欠かせないのは身をもって理解しています。
実際に今は、食事に気をつかったり、運動したりする日々を送っています。
健康は本当に大事なので、健康について調べて、実践してください。
実際にショーペンハウアーは、日々身体を鍛えたり、冷水摩擦をやっていました。
その結果として、70歳を超えても若々しくいられたそうです。
また、感の良い人は今の主張を聞いて、ショーペンハウアーの幸福についての考えを感じ取れたと思います。
ショーペンハウアーは幸福になるために「ネガティブな要素を取り除くこと」を本書で何回も主張しています。
具体的には「不健康になるな・不要な財産は持つな・不要な人間関係は持つな」といったことを主張しています。
「不要な人間関係は持つな」と言うショーペンハウアーは、自他ともに認める「孤独」な生活をしてきました。
では、「不要な人間関係は持つな」この主張を深堀りしていきます。
孤独を愛せ
まずあなたは、「孤独」に関してどのようなイメージがありますか?
大半の人はネガティブなイメージを持っていますよね。
正直に言うと、僕も孤独には良いイメージを持っていません。
もちろん一人の時間も大事ですが、孤独だとなんか寂しいですもんね。
しかしショーペンハウアーは、孤独に関して以下のような意見を持っています。
才能豊かな人は、苦痛や手ひどく扱われることを避け、静寂と閑暇を求める。そのため静かでつつましやかな、できる限りだれからも邪魔されない生活を求め、したがって、いわゆる世間と多少お付き合いした後、隠棲することを選ぶ。それどころか、偉大なる知者は孤独を選ぶだろう。というのも、その人自身に常にそなわっているものが多ければ多いほど、外部のものをますます必要としなくなり、他者はますます必要としなくなり、他者はますます重きをなさなくなるからである。それゆえ、卓越した精神の持ち主は非社交的になる。
出典:幸福について
はい、いかがでしょうか?
僕は「ちょっと極端すぎる意見かな?」と思いました。
いまの主張だけ聞くと「孤独になることが正しい」みたいに聞こえますからね。
しかし、ショーペンハウアーも「完全に孤独になれ!誰とも関わるな!」と言っているわけじゃないので、誤解のないように。
ショーペンハウアーにも、気の許せる友人はいましたからね。
ここで思い出してほしいのが、先ほど解説した「幸福を決定づける根本」です。
「①人間性・②所有物・③他者評価」の3つが幸福の根本だと言いました。
実は他者というのは、「②所有物・③他者評価」に分類されちゃうんですよね。
したがって、「人間関係は全く不要とは言えないけど、幸福を決定づける根本ではない」というのがショーペンハウアーの結論になります。
だから孤独の時間を作って、人間性を磨くことに重きを置いているのですね。
孤独な時間を作ることで、健康を高めたり、過去を振り返ったり、将来設計をしたり、勉強をしたりと、人間性を磨くことに時間を費やせます。
人付き合いも大事ですが、孤独な時間も大事だという考え、ぜひ受け止めてあなたの中で消化してほしいと思います。
老いることは不幸じゃない
はい、最後に「老いることは不幸じゃない」というテーマを解説していきます。
ほとんどの人は「老い」についてネガティブなイメージを持っていますよね。
イメージというよりも、現実的に様々な能力が衰えますので、誰だって老いは避けたいと考えています。
僕も本書を読むまでは、老いに良いイメージは全くありませんでした。
しかし、以下の文章を読んだとき、「老いは完全な悪ではない」と考えを改めることができました。
人生の後半は、音楽の大楽節と同じく、前半に比して、ひたむきな努力が減り、心の安らぎが増える傾向がある。そもそもこれは、青年期には、世間ですばらしい幸福や享楽に出会えるはずで、これに行きあたるのがむずかしいだけだと考えているのに対して、老年期になると、世間から得られるものは何ひとつないと達観し、すっかり安らかな気持ちで、まずまずの現在を享受し、それどころか些細なことにも喜びを感じるようになるためである。
出典:幸福について
はい、いかがでしょうか?
要するに歳を重ねることで、「何でもないような事が幸せだったと思う」ということですね。
たしかに歳を重ねると、大して派手な生活を送っていないのに、幸せそうに過ごす人が多いように感じます。
逆に若い頃は、派手な遊びや生活に幸福を求める傾向があります。
しかし、歳を重ねると「世間から得られるものなどない」と達観できるそうです。
さすがにそこまで悟りを開いている人は少ないですが、言いたいことは、なんとなくわかりますよね。
歳を重ねればだんだん能力が衰えていき、欲も無くなっていきます。
しかし、若者のように幻想を追い求めて神経をすり減らすことが無くなり、ささやかな喜びで満足できるようになるのです。
「老い」を単純な能力や見た目だけで評価すれば、ネガティブな事柄としか捉えられません。
ただ、ショーペンハウアーのように、「些細なことに喜びを感じられるようになる」と考えれば、老いは悪いものではなくなります。
ここで強調しておきたいことは、ショーペンハウアーの考えが正解か不正解かは、そこまで重要じゃないということです。
ショーペンハウアーのように一見ネガティブに見える「孤独・老い」から人生の幸福を見出す、その姿勢が重要なのです。
もちろん、「不健康」というネガティブな要素が大きすぎる事象もあるので、ネガティブなことをすべて受け入れる必要はありません。
しかし、わかりやすい表面的な幸せを追い求め続けば、疲れた人生を送ることになってしまいます。
「一見ネガティブなことにも幸福のキッカケはある」そのように考え、幸福の根本である人間性を磨いていきましょう。
まとめ
はい、これで「幸福について」の解説は以上になります。
ショーペンハウアーは意見をズバッと言い切る方なので、なかなかトゲのある発言が本書ではいくつか見られました。
今回はその中でもマイルドな文章を抜粋してご紹介しました。
ただ、それでも本書のメインメッセージである「人間性を磨け。それが幸福の根底を成す」という内容は伝えられたと思います。
より力強い言葉のシャワーを浴びたい方は、ぜひ本書を手にとって読んでみてください。
しかし本書は読み切るのが難解なので、もし読もうと思った場合は、マンガ版から入ることをおすすめします。
はい、では以上になります。
最後までご清聴、ありがとうございました!